
永濱利廣
新型コロナの感染拡大が続く中、政府は東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県を対象に緊急事態宣言を再び発動する運びとなった。今回の緊急事態宣言により、日本経済が被るダメージはどれほどのものか。試算を行うと、楽観視できない状況が見えてくる。

菅新政権が取り組むべき経済の最重要課題は需要喚起策だ。検査拡充やワクチン普及で不安心理を払しょくし、その後、労働市場改革やデジタル化などの「スガノミクス」の本丸に進むことだ。

4-6月期のGDPが戦後最悪の落ち込みになったが、雇用や家計所得の悪化はこれからだ。コロナへの不安が払拭されないと不況は長期化する。対策も「コロナ前」の経済を支えることから、業態転換や就業支援にシフトすべきだ。

内閣府が、2012年12月から始まった景気拡大が18年10月で終わったと認定し、アベノミクス景気は「戦後最長」には届かなった。今回の景気拡大は「戦後2番目」ということになるが、実はそれも怪しい。

新型コロナウイルスの経済対策では、需給ギャップを埋めるだけで10兆円規模の対策が必要で、東京五輪延期でさらに上乗せが必要になりそうだ。リーマンショック当時並みの対策を打つなら真水で20兆円規模の追加対策が必要になる。

今夏に開催される予定だった東京五輪の「1年程度の延期」が決定した。中止という事態は免れたものの、国民の心理面への影響は計り知れない。日本経済の目玉であった東京五輪の経済効果がいかなるものだったか、そして延期された場合はどうなるのかを分析する。

米国とイランの対立激化により、原油価格が上昇している。それは成長率の低下、家計の負担増、さらには所得の海外流出など、日本経済に思わぬ悪影響を及ぼしかねない。その実態を試算してみよう。

問題の本質は少子化ではない 企業投資で経済は復活できる
現在、日本の経済成長率は、主要先進国の中でも最低となる1%ほどの低い水準を続けており、日本経済は世界の中で相対的に縮み続けている。こうした流れの中で、日本型格差社会の到来への強い危機感をあぶり出す。

いよいよ改元の日が迫ってきた。今年のGWは10連休となる企業もあり、世の中では祝賀ムードも盛り上がるため、消費が活発化しそうだ。一方で、ポジティブな影響ばかりではないという見立てもある。改元が日本経済に与える「意外な影響」を探る。

大胆な金融緩和政策をしてもなぜ、経済の回復が遅いのか?
厚生労働省が発表する「毎月勤労統計」の調査過程の一部で不適切な行為があった問題で、雇用保険などの給付額が少なかった人は延べ2000万人規模に達し、過少に給付された額は500億円以上になることが分かった。これは、国の根幹を成すばかりではなく、賃上げを柱の一つに掲げるアベノミクスの成果を測るものでもある。

消費増税という手段に頼らず日本は生活経済大国になれる
『「10%消費税」が日本経済を破壊する』は、8%から10%への消費増税が本当に実施されるならば、日本経済は壊滅的な大打撃を受けることになると謳(うた)い、消費増税の凍結を提案する。具体的には、10%への消費増税が日本経済に打撃をもたらす理路を明らかにする。

“労働力不足”が好景気を誘引 世間の悲観論を一蹴する快著
経済を語る上で、「楽観論は知的ではない」と思われがちなこともあり、日本経済の問題点やリスクを多々指摘する書籍が世間には溢れている。

景気循環論の第一人者による日本経済が盛り返す大胆予測
景気の回復局面が始まったのは2012年12月だった。その後、17年9月には、高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目となった。現在、日本の景気循環に対する関心が高まっている。

今夏は記録的な暑さとなっており、さまざまな猛暑関連市場で特需が起きている。しかし一方で、西日本を襲った豪雨被害や大阪北部地震などは経済の不確実要因となる。今夏の天変地異が日本経済にもたらす影響をシミュレートすると、思わぬ結果が見えてきた。

7月に入り、うだるような暑さの日が続く。気象庁の予報では、今夏は平年より気温が高くなることが確実視されている。猛暑になると様々な商品やサービスが売れ始め、通年で見ると日本経済を大きく盛り上げると言われる。その効果はいかほどだろうか。

堅調な企業業績に、2万円台を突破した株価――。アベノミクス以降、日本の景気は回復基調にあると言われる。しかし、世界のGDPにおける日本の比率や1人当たりGDPは、今も低水準に留まっている。「見かけ」とは違う日本経済の地盤沈下の背景には、何があるのか。
