
竹中正治
コロナ危機を受けた未曽有の財政出動と金融緩和に伴う近未来の現実的なリスクは、制御不能の高インフレではなく、デジタル変革(DX)ブームに後押しされる資産バブルかもしれない。

「コロナ第2波」の懸念が高まる中、感染対策優先と経済活動優先を唱える主張が鋭く対立している。果たしてどちらの主張が正しいのか。あるべき対策を考える上での「注目すべき事実」は2つある。

米FRBの秘策が奏功して、リーマンショック時とは異なる急速な底打ち反転を見せた米国株。しかし、期待先行の楽観的予想を脅かす反落局面が年後半にも待ち受けていそうだ。

コロナ危機で増幅された米中対立はリーダー国不在の現実をあらためて印象付けているが、市場では「ドル一強」がますます鮮明化している。これは投資家にとって何を意味するのか。

株安の次に起こるコロナショックは不動産価格の下落だ。リーマンショック並みの景気後退に陥った場合、都内のマンション価格はどこまで崩落するのだろうか。

日本をはじめ新型コロナウイルスが伝播した各国で大規模イベントの休止や外出の抑制が始まった結果、経済への負の影響が深刻化している。日本株は一体どこまで下がるのか。

新型コロナウイルスの感染拡大で中国の経済活動が少なくとも数カ月は停滞し、その間に経済成長率も低下するのはすでに不可避とみられている。最悪のシナリオは中国国内の信用縮小を伴う金融危機に発展する場合だが、そこまで至らずとも日本が景気後退に移行する可能性は高まっている。

かねてより筆者は日本株が右肩上がりのトレンドを回復し、2020年代には日経平均で3万円を超えるとの展望を伝えてきた。この長期楽観シナリオの背景には、日本企業の高利益率の復活がある。

日本株は長期右肩上がりのトレンドを回復した可能性が高いと説く竹中・龍谷大教授。つみたてNISAやiDeCoなどで資産形成を始める人々と、そうでない人々の資産格差は今後長期では大きなものになると分析する。

2020年に世界的な景気後退が起これば、日経平均は1万5000円程度まで下落する可能性がある。しかし大事なのはその後だ。2020年代後半には右肩上がりのトレンドを回復し3万円に届くとの予測も可能だという。その根拠は?

消費税の歴史を振り返ると、景気と政治的なリスクを伴って実施されてきたことは否定できない。そこで注目されるのが「均衡財政へのこだわりは根拠なき神話」と説くMMT(現代貨幣理論)派の信憑性だ。

米中間の問題はもはや通商の次元を超えた「新冷戦」であり、中国経済失速を契機に世界的な信用収縮、本格的な景気後退と株価下落局面に移行する可能性が高まっている。

米国の次期景気後退入りは2020年が濃厚だが、その際、どの程度の株価下落を覚悟すべきなのか。また、「米国株の暴落時こそ千載一遇の好機」とは本当なのか。

海外経済の失速を背景に日本経済が景気後退に向かう可能性が高まっている。日銀による超金融緩和の効果が出尽くした今、デフレへの後戻りを回避する手段が1つある。

超金融緩和が長期化する中、圧縮された預貸金利ざやの下で、地域銀行の衰弱が進んでいる。このまま景気後退に移行した場合、金融システムに大きな穴があく恐れはないのだろうか?

方向感のないまま揺れる株価。背景には、この先の景気動向に対する不安がある。仮に日米欧中経済が景気後退に移行した場合、日本株と円相場はどうなるのだろうか。
