製品やサービスの質だけでなく、その購入検討から使用、廃棄に至るまでの一貫したプロセスで顧客の満足度を高めることの重要性が認識されつつある中、デザイナー以外の職種のビジネスパーソンも、デザインに向き合う機会が増えています。「自分にはセンスがないから」などと言い訳せず、ポジティブにデザインと向き合うにはどうすればいいのでしょうか。連載第2回では、「批評」をキーワードに、さまざまな立場の人が力を合わせてデザインを良くするためのコミュニケーションの方法を学びます。
みんなが悩む、デザインのすれ違い
ビジネスパーソンの皆さん、こんな経験はありませんか?
ケース1:ウェブやバッケージなどのデザインをデザイナーに発注したところ、ピンとこない案が出てきてしまった。
ケース2:新商品のロゴの検討会議に役員がやって来て、ブランド全体のバランスを無視して「これが好みだな」の一言で決めてしまった。
ケース3:納期ギリギリになってから、責任者が「そもそも論」を持ち出してきて、現場で最終決定していたデザインがひっくり返った。
……当たり障りのない例を出そうとしただけなのに、過去に自分が関わった仕事の思い出がよみがえってきて、ちょっと胃が痛くなってきました。このような「デザインにまつわるすれ違い」は、なぜ起きるのでしょうか? そして、それが起きてしまったとき、どうすればいいのでしょうか?
今回紹介する『みんなではじめるデザイン批評』は、こんな残念な「あるある」を繰り返さないためのセオリーやテクニックが、具体例を交えながら事細かく解説された一冊です。