昨年、「待機児童解消」を公約に掲げた林文子氏が、横浜市初の女性市長に就任してから、はや1年。莫大な人口を抱え、「日本社会の縮図」ともいうべき少子高齢化の波に晒されている横浜市は、子育て支援の体制づくりを急ぎ、一定の成果を出している。しかし、育児に悩む女性を支援することは、自治体ばかりでなく、国や家庭の役目でもある。前回に引き続き、民間企業でキャリアウーマンとして大きな成功を収めた林市長が、自身の経験を基に、地域が一丸となって少子化に歯止めをかけるための試みを提言する。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)
――前回は、少子化を加速させる要因の1つである待機児童問題について、その解消を目指す横浜市の取り組みを聞きました。林市長が行なった取り組みのうち、具体的な成果が出ているものには、どんなものがありますか?
実際に子どもを保育園に通わせられなかった保護者もいるので、「具体的な成果が出ている」と胸を張るわけにはいきませんが、手応えは感じています。
たとえば、「横浜保育室」を1997年から開始し、現在128施設で約3600人が利用しています。また、幼稚園での預かり保育では、市内289園のうち約80園で実施し、約2000人が利用しています。
今年度からの取り組みでは、NPOなどを活用した家庭的保育事業で、すでに54人の定員枠を確保できました。今後もこれらの事業を拡充していきますが、特に私立幼稚園に協力してもらい、ぜひとも預かり保育の実施箇所数を増やしていきたいと考えています。
こうした待機児童解消への取り組みは、「こども青少年局」の仕事です。でも、こうした地域密着の仕事は、もっと生活に近い現場である区役所が汗をかくと、より早い解決につながる可能性があります。