副業の個人にとってのデメリットも、正直に書いてみよう。

【副業の個人にとってのデメリット】

(1)「本業との競合リスク」
 本業で身につけたスキルを副業に使う場合、仕事上の利害が対立し、本業にもたらす不利益が問題化するリスクがある。

 例えば、筆者の前職場はシンクタンクだったが、外部から獲得した、コンサルティングや講演の仕事を、本業として行うか、副業として行って丸々自分の収入にしていいか、判断を迷うケースがあった。前職場の場合、実績連動的な報酬システムだったので、会社にもたらす利益と、自分が契約する報酬をバランスさせると問題は起こりにくかったが、一般的な職場であれば、この種の利益相反的状況が問題になることは十分あり得るし、この問題は社員本人にとっても、副業の最大のリスクだ。

(2)「本業の人的資本への投資不足の可能性」
 特に、若い社員であれば、本業に集中することで得られるスキルの向上や知識の増強などが、自らの「人的資本」への有効な投資になる可能性が大きいが、副業に時間と努力を分散すると、人的資本への投資が不足する可能性がある。

(3)「疲労」
 好きでやる副業であっても、副業が疲労につながり、本業の生産性に悪影響を与える可能性はある。この問題は、第一義的には本人が責任を負う問題であり、会社は社員を公平・適正に評価すればいいだけで、事前に審査したりするような身分ではないはずなのだが、本人が、副業で疲れることがあるのは事実だ。

会社側から見た社員の副業の
メリット・デメリット

 さて、会社の側から見て、社員が副業に従事することのメリット・デメリットは、それぞれ何だろうか。

 ロート製薬は、メリットとして、「社員のダイバーシティ」を挙げた。これは、正直なところ気づきにくいメリットだったが、確かに、副業には、社員の視野を広げる効果があるように思う。繰り返すが、同じ事をするなら単なる趣味でするよりも仕事としてする方が、張り合いもあり力も入るので、視野の拡がりや発見は多いだろうし、これが将来、本業に役立つ可能性はある。

 また、これを会社側が好むかどうかには両論があろうが、副業を持つことで、社員が、独立した「個人としての自覚を持つこと」があるだろう。今や、社員の一生の面倒を見きることは、会社にとって「重い」。個人が自立の程度を高めることは、会社にとって悪くない面もある。

 加えて、社員の副業による人間関係の拡がりが、本業の会社にとっても有益に働く場合があるだろう。