牛丼すき家ブラジル進出で好評、背景に国内の飽和状態世界のすき家の中で、常に売り上げ上位にランクインするサンパウロ・リベルダージの店 Photo by Masataka Tsuchimoto

「ゴストーゾ(うまい)! これが日本ではやりの食べ物か」──。日本でも大いに沸いた五輪会場のリオデジャネイロから西へ約350キロメートル。南米最大の都市サンパウロ近郊で花卉農園を営む日系1世、藤原利貞さんは牛丼に舌鼓を打った。

 リオでは7日(日本時間8日)、パラリンピックも開幕し、ブラジルは世界から再び注目を集めている。日本から見てまさに「地球の裏側」のこの国で、日本代表選手に負けまいと、最大手の牛丼チェーンすき家(ゼンショーホールディングス)も奮闘しているのだ。

 日本人のブラジルへの集団移住は1908年に笠戸丸で781人が海を渡ったのが始まり。現在世界最大の日系コミュニティーを抱え、日本となじみが深い国だ。すき家が大手牛丼チェーンで初めて進出したのは2010年3月。当初は日系ブラジル人客を当てにしていたが、最近はブラジル人客の方が多い。右肩上がりに増えて現在13店舗。月末にもう1店舗増やす予定だ。

 関係者によると、サンパウロ中心部の日本人街リベルダージの店はすき家店舗別月額売上高でたびたび世界第2位に躍り出る“銀メダル級”の人気店になった。約140席もある店内はアニメのイラストなどで内装され、日本文化の発信拠点としてもアピール。牛肉、玉ネギ、米など材料のほとんどは地元か周辺国で調達している。