その前に、全年齢と生産年齢人口のジニ係数の関係について日本の特徴を整理しておこう。

 日本について、全年齢のジニ係数と高齢化要因を取り除いた生産年齢人口(ここでは通常の15歳以上ではなく、18歳以上で65歳未満の人口)のジニ係数の推移を比べると、前者の方が後者をだんだんと上回るようになっており、この差の拡大が高齢化の要因による格差拡大といえよう。

 日本以外の国では、日本と異なり、全年齢と生産年齢人口との差はむしろ縮小、あるいは逆転する傾向にある。年金や税制による所得再分配がないとすると高齢者層では働き盛りのときの貯蓄や資産運用の運不運で格差が生産年齢人口より大きくなるのが一般的である。

 高齢者層を含めた全年齢のジニ係数が生産年齢人口のジニ係数より上回っている点が明確なのは米国と日本であるが、米国は、機会の平等を重視し、結果の平等は致し方ないとする考え方が根強いからであろう。日本の場合は、アジア的な自助思想の影響のためと、高齢化が急であり、高齢化の程度も尋常ではないため、財政制約もあって、再配分が追いつかないためだろう。日米以外の国ではそれなりに再配分機能が働いているため高齢者を含めた場合でも格差が広がらないのだと考えられる。

高所得世帯の平均所得は
低所得世帯の何倍か

 ジニ係数と並んで格差の国際的な標準指標として、高所得世帯の平均所得が低所得世帯の平均所得の何倍になっているかという指標がしばしば使用される。学者的には、中間層まで含めて不平等度分布を正確に表わせないと見なされ、あまり使用されないが、ジニ係数より実感的に理解できる点がメリットとしてあげられる。この2つの指標は、ほぼパラレルに動いているので、実際上は、どちらを使ってもよいのである。

 図には、家計調査(総務省統計局)から、所得格差の動きを、所得の上位20%世帯と下位20%世帯の所得倍率で示した。前図の日本のジニ係数とほぼ並行的な動きを示しているが、時系列的には、かなり古くから推移を追える点のメリットがある。二人以上の世帯が対象なので、増加する高齢単身世帯が含まれていない分、高齢化の影響は小さい指標とみなせる。

◆図2 所得格差と世代間格差の推移

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