寺カフェ、写経体験、法話...
葬儀だけがお寺との付き合いじゃない

「地域に密着して良質な活動をしている寺院は多いのですが、大半はWEBサイトなどで発信をしていません。寺院の良さが社会に伝わっていないのが現状です。人が集まるにはオープンな情報開示が必要だと思います。お坊さんの包容力のある人柄や、寺院の静謐な空間性、こういった“えも言われぬお寺の良さ”を少しでも伝えていきたいのです」と話すのは、このサービスを開発した一般社団法人お寺の未来代表理事の井出悦郎氏だ。

「まいてら」は、掲載前にお寺から財務資料など100項目以上の経営情報を提出してもらい、の厳しい審査を実施する

「まいてら」に掲載されるにはいくつかの条件がある。掲載を希望する寺院は、財務資料を始め、100項目以上の経営情報を提出しなければならない。その後、スタッフが現地へ足を運び、寺院の現況を確認した上でようやくサイトに登録ができる。法人としての意識が低かったり、堅実な管理運営ができていない寺院は断ることもある。

「この仕事を始めた5年前には、ネットにお寺の情報がほとんどなくて困りました」と振り返る井出氏だが、じつは仏教界の出身ではない。前職は経営コンサルタントである。

 名だたる企業を相手に活躍していたものの、次第にクライアントの硬直的な仕事への姿勢に疑問を感じるようになる。クライアントが従来の価値観や手法に執着し、急変する時代に対応できない場面を多く見るようになった。

 そのころ出会ったのが仏教。東洋思想の柔軟さにひかれ、本格的に学ぶようになった。そんな折、僧侶になった友人から、お寺向けの経営塾をやりたいと相談を持ちかけられる。それを契機に法人を設立。未来の住職塾という寺院向けの経営講座を運営していく中で、寺院の魅力を発信するポータルサイトを作りたいと思うようになった。

「いま、日常生活でお寺のある風景がどんどんなくなっています。檀家が先祖代々のつながりを保っていくという習慣は徐々に廃れます。これからの時代は檀家であるか否かという区別は、意味が薄まるでしょう。お寺と人の、新しい関係構築が必要だと思っています」(井出氏)

 まいてらには、「会員制度」というコーナーがある。年会費というシステムで檀家になることができるほか、信者さん、寺人、サポーターなど様々なかたちで(名称は寺院によって異なる)お寺を支えることもできる。こちらは大半が無料だ。

 気になったお寺があれば、寺カフェに参加したり、写経を体験してみたり、法話を聴いたりと手軽にできることから始めてみてはどうだろう。そうしていくうちに良きお寺と出会ったら、檀家として縁を結んでいくこともできる。

 元来、お寺は学校であり、福祉施設であり、地域のコミュニティでもあり、様々な役割を担っていた。そんなお寺の原点に立ち返って、新しいつきあい方を考えてみる時代になっているのではないだろうか。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R)