前職がブラック企業でトラウマに…
パワハラ、セクハラでやむなく辞めた人も

 ここまでは、第二新卒者に対してあきれたエピソードを紹介してきたが、最後は少し違った趣向にしたい。というのも、第二新卒という言葉がこれほど普及したのは、「第二新卒が多い=数年で辞めたくなる企業が多い」ことでもあるはずだ。そのせいか、第二新卒者の中には、前職の経験にトラウマを抱えている人もある。

 今回の調査でも、そういった「前職でのトラウマ」を感じさせるエピソードが聞かれた。いくつかここに記したい。

「第二新卒の社員に転職した理由を聞いたら、『前職の仕事内容が合わなかった』と答えた。具体的に聞いてみると、『前職は立ち仕事でかなりきつく、事務職への異動希望を提出。しかし、それも受け入れられなかったため退職した。その後、事務職を募集しているウチに来た』とのこと。聞いた瞬間は『考えが甘いのでは?』と思ったが、彼女の前職は本当に過酷な労働環境だったようで、1年ほどで腰を悪くしたとのこと。それでもまったく休めなかったらしい。これでは仕方ないと考え直した」(44歳男性/不動産)

「入社直前の面接で、給料面や残業代の有無をかなり細かく、詳細に聞いてきた第二新卒がいた。あまりに細かくて悪い印象さえ抱いたが、どうやら前職は残業代がほとんど出なかった模様。しかも2日連続で徹夜するのも珍しくなかったとか。理不尽な異動もあったようで、ブラック会社の典型だった」(34歳女性/IT)

「自分も面接を担当して採用した第二新卒の女性。面接で前職を辞めた理由を聞いて疑問はなかったが、採用後に仲良くなってから『実は前職でパワハラ、セクハラにあった』と聞いた。前職は小さな会社で、既婚者である男性社長から雑誌で頭を殴られたり、『僕と君はいつかセックスすると思う?』と聞かれたりしたのだという。ハローワークでは『転職の面接では、前職を辞めた理由をパワハラやセクハラだと言わないほうがいい』と釘を刺されたといい、いたたまれない気持ちになった」(35歳男性/出版)

 新卒の社会人にとって、初めて入社した企業から受ける影響やイメージは相当強い。それがどんなに短い期間でも、である。その"1社目"でつらい思いをしてしまい、転職する第二新卒も珍しくない。前職での苦い経験を引きずっている人もいるだろう。今回の調査では、そういった第二新卒の存在も強く印象に残った。

盛り上がる「第二新卒市場」
軽率に転職する若者を増やすのか?

 本記事のエピソードは、多くが第二新卒のネガティブなものだ。ただ、決してこういった第二新卒が多数派なわけではなく、あくまでそれらのエピソードをピックアップした形であることは強調しておきたい。真面目で、企業にとってありがたい第二新卒も、きっとたくさんいるだろう。

 それ以上に今回感じたのは、"第二新卒市場"の盛り上がりがもたらすメリットとデメリットだ。若いビジネスパーソンにとっては、転職しやすくなることで恩恵を受ける部分もあるだろうし、企業もメリットを感じているからこそ採用に積極的になっている。

 しかし一方で、第二新卒の一般化は、軽率に転職する若者を増やしてしまうかもしれない。それは企業にとってどうなのか。今後、20代前半の若い人材をじっくり育成するのは、かなり難しくなってくるのではないか。ちょっとしたキッカケで辞めてしまう可能性があるからだ。そうして、ますます就職の「売り手市場」は顕著になるかもしれない。

 第二新卒の盛り上がりが、今後の就職状況や採用市場にどんな影響をもたらすのか。企業の人材育成を考える上でも、注目すべき事象ではないだろうか。