中国の軽食店で無許可営業騒ぎ、日本から学ぶべき柔軟性上海のB級グルメの代表格「葱油餅」(本文中に登場する店舗のものではありません)

 私のコラムなどをよく読んでいる方なら、きっと気づいていると思う。話のネタに、私はよく油条、葱油餅、陽春面など上海のB級グルメの代表格とも言える点心や、ヒユ菜、ちしゃ、マコモ(マコモタケ)といった上海の野菜を登場させたりしている。政治、外交、経済という高尚な談議よりも、市井の話題から入った方が親しまれやすいのでは、との判断からだ。

 実際の効果も狙った通りのものがあった。“中国風のネギ入りおやき”と言ってもいいような「葱油餅(ツォンユーピン)」を例に挙げれば、以下のような体験があった。

 2013年頃、中国が東海防空識別圏を設けた問題で、日本の政治家たちもメディアも連日、その議論で賑わっていた。しかし、その時の私の関心はむしろ、防空識別圏とはまったく関係も関連性もないところにあった。私のコラムも東海防空識別圏問題よりも、葱油餅のことを優先させた。そのため、私のFacebookなどのSNSの舞台では、さらに私のフォロワーの皆さんの間では、美味しい葱油餅の香りに満ちた話題が無味乾燥なメディアの防空識別圏の話に圧勝した(ご興味をお持ちの方は『美味しい葱油餅の話題が無味乾燥な防空識別圏の話に圧勝をご参照ください)。

突然営業禁止を食らった
人気の「葱油餅」店

 今回もその葱油餅を登場させたい。しばらく前、私は『中国社会の「職人技」軽視に一石を投じるB級グルメの匠』というコラムを書いた。その文章のなかで、日本人に親しまれる花園飯店(オークラガーデンホテル上海)がある茂名南路の、横丁の奥に店を構える「阿大葱油餅」のことを取り上げた。数時間も列に並ばないと葱油餅が入手できないほどの人気店だ。英BBC放送に取り上げられてから、いっそう有名になったそうだ。