膀胱に尿が半分くらいたまった時点で筋肉が圧力を感じて、その信号が脳に伝わる。人はここで尿意を感じ「トイレに行きたい」と思うのだ。脳が「排尿をする」か「がまんするか」を判断すると指令は、膀胱と尿道に伝えられる。

 尿を出す、出さないの直接的なコントロールは尿道の付け根にある尿道括約筋が行っている。これがいわば水道の蛇口の役目を果たしているのだ。尿道が開くと、膀胱の排尿筋が収縮し、ポンプのような働きをして尿を排出する。

 性差以上に個人差があるが、一般に女性のほうが尿をがまんしにくいのは身体構造的には事実のようだ。腎臓から膀胱までのしくみは男女ともほぼ同じだが、尿道やその周囲の器官や筋肉には違いがある。男性は尿道が長く、L字型に曲がっている。一方、女性は男性に比べ尿道が短いうえに、まっすぐ下に伸びているので、より頻尿や尿もれを起こしやすい構造になっているのだ。

「がまんするのに慣れている」
そんな人ほど要注意なワケ

 男性の尿もれは女性とは異なり、トイレの後、尿道内に残ったものが出てしまうことが多い。これが男性特有の「排尿後尿滴下」である。また前立腺肥大症などによる「過活動膀胱」では、急に強い尿意をもよおし、我慢できずにもらしてしまうといったことも起きる。

 たとえ尿もれの症状があろうとなかろうと、膀胱に限界までたまった水分を排出できない状態が続いたらどんなことになるか想像に難くない。そうなる前にもらしてしまうから滅多にないこととはいえ、最悪の場合、膀胱の破裂すらありうる。

 自分には尿もれの症状なんてないし、長時間トイレをがまんするのも慣れている。そんな人も危ない。頻繁に大量の尿をためこむ生活を続けていると、膀胱内でのバクテリア繁殖のリスクも高くなる。膀胱や尿道が炎症を起こしてしまうのだ。痛みはもちろん、頻尿や尿意があるのに尿が出にくくなるといった症状を引き起こすし、放置していると他の深刻な病気にもつながりうる。

 当初の予定としては「いかに尿意をがまんするか」についても触れるつもりだったが、やはり「尿はがまんすべきではない」という結論にいたってしまう。長時間席を外せない状況が予想されるなら、水分を控えておくという対処法はあるが、頻繁に行うことは健康面からはおすすめできない。

 発想の転換で「尿がもれても平気な状態にしておく」というテはある。女性の場合、尿もれパッドなどの「尿ケア」製品が充実しているが、当事者ならご存じだろうが男性に対応した製品もある。例えばユニチャームの「さわやかパッド男性用」は10ccの微量用、80ccの中量用、さらには200ccまで対応できる「時に多い時でも安心用」まで揃っている。膀胱の最大容量600ccに対応した製品の登場も、本気で待たれるところだ。

(工藤 渉)

参考URL:

尿漏れ症状のある男性は50-70代の3割 (花王)
http://www.kao.co.jp/lifei/pdf/report/16.pdf

全国社会保険共済会 膀胱炎
http://www.zenshakyo.org/kokorotokarada/feature/feature15.html

排尿の仕組み ファイザー製薬
http://www.oab-info.com/info/mechanism/

尿がまったく出ない 日本泌尿器科学会
https://www.urol.or.jp/public/symptom/06.html