民主党政権下でも相変わらずの迷走ぶり<br />生き残る会社はどこ? 「ゼネコン時限爆弾」

 3年ぶりにゼネコン特集の取材に参加しました。

 3年前、談合と決別した公共工事でも民間建築でも、ダンピング受注が横行。そして、先細る国内市場に見切りをつけて、海外に活路を求めるスーパーゼネコンの姿がありました。あのダンピング受注の結末はどうなるのかと懸念していた不安は、当たったようです。

 この間、政権は民主党に変わり、米国発のリーマンショックという大波を被りました。こうした大きな外部環境の変化もあり、ゼネコンを取り巻く環境はさらに悪化していました。

 スーパーゼネコンの1社である鹿島は、2010年度第2四半期で、投資家やアナリスト向け決算説明会を開催しませんでした。日経225に組み込まれている銘柄がIR説明会を開催しないのは「極めて異例」(市場関係者)だそうで、状況の悲惨さを物語るエピソードの1つです。

 今回は、民主党政権下での建設行政の総括と、地方建設業界の苦悩を中心にまとめています。談合決別により公共工事での受注は細り、リーマンショックの影響で民間建築は不良債権化、加えて大手は活路を見出した海外工事でも焦げ付きが発生するなど、八方塞がりの状況です。

 数少ない新市場として、インフラの更新マーケットが見込まれていますが、計画を立てるどころか、国も自治体も現状どのようになっているのか把握すらしていません。建設の仕事は、長ければ数十年単位で取りかかるもので、発注者である行政にも企業経営にも、長期的な視点は欠かせません。

 10年後に確実に更新の必要に迫られているのに、今の行政の動きは少し遅い気がします。一番恐いのは事故の危険です。橋や道路が陥落してからでは遅く、事前にきちんと維持・修繕なり更新なりをしておかなければなりません。

 インフラ更新だけではありません。『週刊ダイヤモンド』では、10年以上前から疲弊するゼネコンの現場を採り上げて警鐘を鳴らしてきましたが、いまだに過当競争は解消されておらず、業界全体の不条理は是正されていないようです。

 今回の特集が、ゼネコン業界の将来を考える一助になればと思います。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 須賀彩子)