2008年のリーマンショック以降、百貨店のビジネスモデルは見直しを迫られている。高島屋との統合なき後のエイチ・ツー・オー リテイリングが描く新しい百貨店像と成長戦略を聞いた。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

エイチ・ツー・オー リテイリング<br />椙岡俊一会長兼CEOインタビュー<br />「関西ドミナントの次のステップは<br />国内での出店か海外進出かM&A」エイチ・ツー・オー リテイリング会長兼CEO 椙岡俊一
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──高島屋との経営統合はなぜ破談になったのか。

 リーマンショックによる影響が大きい。もともと両社の戦略は違うものだった。当社は関西への集中投資でドミナントを深めており、高島屋は全国ネットで百貨店を展開している。統合前に戦略をすり合わせようという当社と、それは統合後でいいのではないかという高島屋との話が詰まらなかった。

 そこにリーマンショックの大波をかぶり、まずは単独でそれぞれの収益を立て直そうということになった。今でも業務提携は続いており月に1回の会合を持っている。

──エイチ・ツー・オー リテイリングのドミナント戦略とは。

 2004年に10年間をサイクルとした「グランプリ10計画」を策定した。梅田を中心とした関西圏に投資を集中して、マーケットシェアを高める。当社の規模で勝ち抜いていくには、これしかない。

 阪急うめだ本店の建て替えが完了すれば、阪神百貨店と合わせて梅田での売り場面積は15万平方メートルになる。“梅田超本店構想”をドミナントの旗印として、郊外型百貨店、食品スーパー、個別宅配事業と多様な業態で、関西圏の小売り市場でのシェアを高めていこうというものだ。