そもそも、地球が全面的に長期、凍結してしまったことがある、という「全球凍結説」は、それまでの常識ではありえないものでした。理由は簡単です。

 ・理由(1)脱出不能:もし全球凍結が起こると、太陽からの光と熱をほとんど反射(80%)し、ますます気温が下がってしまう(アルベド効果)。すると永遠に雪玉のままのはずだが、今そうではないから、過去そんなことが起こってはいない。(ブディゴの反証)

 ・理由(2)生命絶滅:もし全球凍結が起こると、気温がマイナス100℃にもなり海面もすべて数十メートルの氷で覆われ海中は暗黒となる。生命は(植物プランクトンであっても)そんな中を長期生き残れなない。すると生命は全滅しているはずだが、今そうではないから、過去そんなことが起こったはずがない。

 私も子どもの頃、「もし大氷河期が来たら」みたいな科学Q&Aで、こんな話を聞いて「なるほどな~」と思った覚えがあります。

 しかしこれらは、今考えれば「現在の状態」と「常識的論理」に縛られた思い込みに過ぎませんでした。

全球凍結からの脱出シナリオ

 今の地球の平均気温は15℃。太陽からの熱流入より地上からの放射の方がずっと多いのですが、CO2(二酸化炭素)や水蒸気などの温室効果ガスがその放射の一部を閉じ込めてくれていて(*5)、バランスを保っています。

 現在、大気中のCO2濃度は急上昇中で400ppm程度。ではもしそれが、約400倍の15%に上がったら? 超温室効果による熱暴走が起こります

 それが現実となっているのが地球の兄弟星、金星です。地球より3割弱、太陽に近いだけなのに、地表の平均気温は477℃と超高温になってしまっています。その原因は、その分厚い大気のほとんどがCO2(*6)あること。雲の隙間から入り込んだ太陽からの熱は、CO2に閉じ込められ、金星を灼熱地獄に変えました。

 全球凍結を救ったのも、CO2でした。

地球には多くの火山があり、そこから大量のCO2などの温室効果ガスが供給し続けられました。海が凍っていなければ、海水に吸収されてしまうはずでしたが、凍った海はそれを拒みます。

 温室効果は徐々に高まり、ついに氷雪を溶かしました。それがアルベド効果を下げ、太陽熱の流入量を増やし、気温を上げる……。平均気温マイナス50℃から50℃への「プラス100℃の熱暴走」が、始まりました。

*5 二酸化炭素などは太陽光(可視光線)は吸収せず透過するが、地上からの放射光(赤外線)は吸収し熱に変える。
*6 残りは窒素と二酸化硫黄と水蒸気など。雲のためにアルベルト効果は非常に高い(67%、地球は37%)。