生命絶滅の回避シナリオ

生命を絶滅から守ったのも、火山のようなホットスポットでした。

 寒さと凍結のためにほとんどの生き物が死にましたが、単細胞生物の種を維持するためには、ほんの少しの場所で良かったのです。

 ホフマン博士らが助けを求めた、生物学者のダグ・アーウィンは分析の結果、こう結論しました。

 ・当時の全生命種を維持するには、1000ヵ所ほどのオアシス(火山などによる温暖地)があり、各々に1000ほどの個体(単細胞)がいれば十分
・必要な個々のオアシスの大きさは、ディナー皿程度

 これなら行けそうです。

 ただ、生き残った生物たちを待っていたのは、平均気温50℃の灼熱地獄でした。そこは同時に超巨大台風の巣でもありました。その強風は海洋をかき混ぜ、氷の下で蓄えられた多くのミネラルを海中に放ちました。

 ・高温、ミネラルいっぱい、高濃度CO2

 これは植物たちにとっての天国でした。植物が陸海ともに栄え、大量のO2(酸素)を大気に放ちました。全球凍結後の7億年前から地球の酸素濃度は急激に上昇し、それが大気圏外に浸み出て4.5億年前にはオゾン層を形成し、紫外線を遮断する生命保護バリアとなりました。

O2は生物のエネルギー源、そして体を支えるコラーゲンとなり、その後のカンブリア爆発につながりました。

 そう、全球凍結がなければ、CO2の極端な大気濃度(*7)はなく、その後のO2大量供給、カンブリア爆発もなかったということなのです。

最大の敵は「現状から離れた極端な仮説は意味がない」という思い込み

 この「全球凍結説」は、ウェーゲナーによる「大陸移動説」(第49講「われが神だ~仮説的推論によるジャンプ」参照)以来の大転換とも言われています。

 それはただ、従来の常識を1個2個覆したからではありません。従来の「信念」を打ち崩したからです。

*7 地球上のCO2のほとんどは海中もしくは地中にある。大気中には全体の数%があるのみ。