就活で財務分析は
ほとんど役に立たない!

 前回は上場企業は会社の情報がけた違いに多いことを紹介しました。では、その会社の情報をどう扱えばいいのでしょうか。

 多くの大学では就職指導の一環として財務データの読み方を教えているようです。現役生のみなさんはご存じないでしょうが、大学が就職指導に正面から取り組むようになってまだ10年も経ってません。当時、さまざまな意味で就職状況が厳しくなり、一方で大学間の競争が激しくなり就職の実績が厳しく問われ始めて「何かやらなきゃ」とばかりに広まった就職指導です。

 就職指導といっても何を教えて良いのか分からないのが大学の本音であり、指導のカリキュラムはいまだに試行錯誤の最中です。だから企業を評価する手法として確立している財務分析を手っ取り早く指導に取り入れたりするのでしょうが、はっきり言っておきますが、就職活動において財務分析はほとんど役に立ちません。

 ふたつの意味があります。

企業の財務内容と
仕事のやりがいには関係がない

 ひとつは、企業の財務内容とあなたのキャリア形成、仕事のやりがいには関係がないことです。

 財務内容をよりよくするためにはどうしたらいいか考えてみましょう。もっとも手っ取り早い方法は、社員を安い給料でこき使ったうえで使い捨てにすることです。そうすれば人件費が抑えられ、会社にはより多くの儲けが残ります。

 それでも働くのにいい会社なのでしょうか。それでもあなたは財務内容の良さを求めて仕事探しをするのでしょうか。違いますね。財務内容が良い会社とは、株式を買ったり、お金を貸したりする対象として良い会社、現時点で会社の経営がうまくいっているという意味しかないのです。