変化をすれば、確かに失うものがある。私は、失うものよりも得られるものに目を向けます。

「後退」の行き着くところは、倒産、買収、消滅です。
「今までと同じやり方」を捨てることができなければ、待っているのは「地獄」です。

 私は、武蔵野の社長になる前に、「貸しおしぼり」の会社を経営し、たくさんの飲食店を見て回りましたが、実感として、5年間で8割の店が閉店し、入れ替わりました。
 そして、潰れた店に共通していたのは、「変わらなかった」ことです。

 お客様の嗜好は常に移り変わっているのに、店内の雰囲気や扱っている商品(メニュー)に変化がなかった。だから、お客様から飽きられてしまった。

 下世話な話で恐縮ですが、私は独身時代に、「歌舞伎町の夜の帝王」というあだ名がつくほど、キャバクラに精通していました。

 キャバクラにも流行りすたりがあって、キャスト(女性)の顔ぶれが早く変わらないキャバクラ、つまり、変化のないキャバクラは、必ず閉店します。
 お客様は、常にニューフェイスに期待を寄せているからです。

過去最高売上でも、今のやり方を捨てる

 わが社は、「5年後に売上を2倍」にする長期事業計画を立てています。
「5年で売上を2倍」は、「対前年比115%」で成長しなければなりません。
 そのうえで、近年は、不要な残業を減らす方向で業務改善を進めています。
つまり、社員は、「仕事をする時間を減らしながら、対前年比115%をクリアしなければならない」わけです。

「残業を減らしながら、売上を5年で2倍にする」計画を立てると、社員は「ムリだ」と言います。

 でも、「なぜムリなのか」を詳しく見ていくと、「残業を減らしながら、売上を5年で2倍にするには、今までと同じではダメだ」と気づく。「今と同じやり方」「今と同じ考え方」「今と同じ人」ではムリであることがわかる。

 だとしたら、「新しいこと」「今までと違うこと」にチャレンジするしかありません。

小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/