EV(電気自動車)にも欠かせないレアメタル

 世界の国や企業が興味、関心を高め、その獲得に躍起になっている資源、それがレアメタル(希少金属)です。このレアメタルは話題のEV(電気自動車)のリチウムイオン電池や携帯電話、その他各種エレクトロニクス製品など、現代の基幹産業には必要不可欠な資源です。

 『電池覇権-次世代産業を制する戦略』(東洋経済新報社)、『エンジンのないクルマが変える世界』(日本経済新聞出版社)の著者でもある、大久保隆弘教授(立教大学大学院ビジネスデザイン研究科)も、「充電式電池であるリチウムイオン電池など二次電池を巡り、今後、世界各国は激しい覇権争いを繰り広げることになり、その競争の中で日本が生き残っていくためには、レアメタルの安定的確保も必須」と著書の中で述べています。

レアメタルの安定した供給先の確保が急務

 日本でもここ最近、レアメタル、レアアース(希土類)という言葉が一般に知られるようになってきました。その理由の1つとして挙げられるのが、昨年の尖閣諸島問題に端を発した、中国の日本へのレアアースの輸出規制です。現在、日本で使用されるレアアースの約9割は中国からの輸入に依存していると言われ、その供給がストップすることは日本の産業にとっても大きな問題です。

 こうした事態を回避するために、これまで中国へ依存しがちであったレアメタル、レアアースの供給元を他国へも広げていこうと、日本も官民一体となって推進を始めています。昨年発表された、モンゴルからのレアアースの調達や、ベトナムとのレアアースの共同開発もこの取組の一貫です。

石油、天然ガス、レアメタル…
中央アジアは資源の宝庫

 これに関連し、カザフスタン、ウズベキスタンといった中央アジア地域の話題もテレビや新聞などで耳にすることが多くなってきました。石油、天然ガス、ウラン、レアメタルなど、中央アジアは世界的にも有数の資源埋蔵国です。

 以前の私のコラムでも中央アジアの資源について少し触れましたが、カザフスタンはウランの埋蔵量がオーストラリアに次いで世界2位、石油は世界7位と言われています。また、ウズベキスタン、キルギスといった周辺国も多くの資源がその地下に埋まっています。

 また、天然ウランの国別の生産シェアでは、カナダ、豪州を抜いてカザフスタンが28%とトップシェア、ウズベキスタンも第7位につけています。