エンタメ系機能追求を
日米で比較してみると…

 ACEN面でのIT活用は、環境とニーズの2つの面から考えて見るとわかりやすいでしょう。

 環境については、まず日本の新車はナビゲーションシステムの装備率が高く、大きなポテンシャルがあるといえます。ACEN系の操作は基本的にはナビ画面を使用するため、ユーザーがナビ操作に慣れているほうが新たなサービスや機能も普及しやすいのです。

 また、自動車部品の製造と比べて、アプリなどの開発は参入障壁が低いことも普及を後押しする要因といえるでしょう。ただし、様々なアプリが登場することで素直に車の魅力も高まるかというと、一概には言えません。

 例えばアプリがうまく起動しなかった場合、その原因はアプリの開発者・提供者にあるわけですが、ユーザーは車の不具合ととらえるケースが少なからずあるでしょう。また、アプリの操作方法などはITの領域ですから、ディーラーの販売担当者がうまく説明できないこともケースによってはあることでしょう。それが原因となり、車、サービス、ブランドに対する満足度が結果的に下がってしまう可能性もあります。

 ニーズについては、ユーザーが週にどれくらい、どんな目的で車に乗るかによります。米国で「コネクテッドカー」が注目される背景には、長時間乗る人や、長距離走る人が多いという要因があります。つまり、車の中で過ごす時間が長いため、より快適に過ごしたい、より便利に使いたいというニーズも大きいわけです。参考までに(1)毎日通勤・通学で車を使う人の割合は、米国が49%であるのに対して、日本は32%、(2)楽しみのために毎日車に乗る人の割合は、米国が17%、日本は2%というデータがあります。

 このようなデータを見る限り、車にエンターテインメント性を求める人は日本のほうが少なく、ニーズも低いといえます。この先、ITを活用したエンターテインメント機能が増えていくことは間違いありませんが、米国とは違ったタイプの機能が、米国とは異なるスピードで普及していく可能性が少なからずあります。

 現時点でわかっていることは、最新機能の装備が車の魅力度アップにつながっているということ。そして、ユーザーの関心が、車の基本的な性能(走る・曲がる・止まる)や、価格・燃費といった経済性から、安全性に移行しつつあり、今後、機能性、操作性、快適さの追求に移る可能性があるということです。

 最後にみなさんは、車にどんな機能があると便利だと思いますか?その機能がITで実現できるものであれば、実用化される日は意外と近いかもしれません。

【調査概要】
J.D.パワー アジア・パシフィック
「2016年日本自動車商品魅力度調査(略称:APEAL)」
新車購入後2~9ヵ月経過したユーザー計19,573人から回答を得た。新車の対象は全16ブランド、134モデル。魅力度の総合スコアは1000ポイント満点で、(1)外装、(2)内装、(3)収納とスペース、(4)ACEN、(5)シート、(6)空調、(7)運転性能、(8)エンジン/トランスミッション、(9)視認性と運転安定性、(10)燃費の計10カテゴリーを集計して算出している。調査期間は2016年6月初旬から下旬。