私は大半の仕事は、AIやロボットに置き換わると考えています。具体的に、人間に残る仕事は3パターンしかないでしょう。一つが「スマートクリエーティブ」。新しい薬を作ったり、家具をデザインしたりするといった仕事です。二つ目が「コミュニティー・スケールビジネス」で、接客などヒューマンタッチなものです。最後に「シビック・エンゲージメント」、金銭を伴わないボランタリーな社会活動ですね。

安宅 そこに異論はありません。ただ、人を動かしたり、コンテクストを読んで正しい問いをしたりする力は、今のAIにはありません。まだ時間がかかると思います。

 むしろ、仕事が過酷になる人もいる。トップマネジメント層の仕事はあまり変わらないかもしれませんが、その下で作業を行う人たちは今より50倍生産性の高い仕事を求められるかもしれません。

 AIがさっと仕事を済ませ、「はい、次はどうするのか」と迫られることはありそうですね。

「そろばんは要らない」
新社会に適した教育とは

11月下旬、Mistletoe(ミスルトウ)社内にて

──仕事が変われば教育も変わらなくてはなりません。お二人は次世代教育にも熱心ですが、日本の教育をどうご覧になりますか。

 日本の教育は、まだ知識偏重型で、記憶力のいい子どもが評価されています。ですが、それはAIが最も得意とするところです。

安宅 その通りですね(笑)。

 私たちが小さいころ、習い事といえば、そろばん塾がまず候補に挙がりましたよね。

 兄の正義(ソフトバンクグループ社長)が小学校3~4年生のときの話です。母がそろばん塾に行くように促したら、兄は「そんなの、絶対に行かん」と断ったというのです。

「なんで行かんと」と母が尋ねると、兄は「『鉄腕アトム』のお茶の水博士がピコピコと(計算)処理しとった。大人になったら、きっとああなっとるはず。そろばんなんか、無駄ぁあ!」と。

安宅 正しい(笑)。