ペイン治療に通い始めて、世の中には自分と同じようにこんなにも腰痛に悩む人がいるのか、と驚いた。

 待合室で観察してみると、来るときには杖をついて痛みで腰をかがめ、顔までもゆがめていた人が、帰りはサッサと自分の足で帰っていく。それは、驚きだった。

 治療が始まってみると、ペイン治療はVさんに合っていたらしく、日を追うごとに腰痛が軽快になっていった。これまで当たり前だった痛みが、数時間だけでもひくと、不思議と気持ちが楽になった。痛みでこっていた全身がゆっくりとほぐれていくように、心もほぐれていく気がした。痛みがこれほどまでにストレスになっていたと自分でも痛みがとれてはじめて気づいた。

 ペインクリニックに通うようになって不眠も改善した。少し時間ができたので妻と歩いてみようと前向きな気持ちになれた。Vさんは週に1回のペイン治療を続けている。

腰痛は専門医で治療を

 最先端の医療機器で企業検診などを行う東京クリニックの脊椎外科伊藤康信医師は、腰痛の治療について以下のように語る。

「現在の腰痛治療は、まず痛みのコントールが一番大切です。当医院は全国から年間2000人近くもペイン治療の患者様がいらっしゃいます。今まで腰痛にいいと言われるものは全て試したが効果がなかったという方もペイン治療を続けているうちに、痛みが軽減するだけでなく、痛みそのものが消失されたという方もいます。

 軽度の椎間板ヘルニアですと、最近は日帰りのレーザー手術などもあります。多忙なビジネスマンの方でも会社を休まずに手術を受けられます。腰痛の代表的な原因は椎間板ヘルニアですが、腎炎や肝炎、腎臓結石などの内臓疾患で腰痛が起こることもありますので、早目の検査が必要です」

取材を終えて

 現在、以前では腰痛の手術など考えられないほど高齢の方でも、寝たきり防止のために手術を受けることがあるそうです。

 私の父も80歳を過ぎてから腰痛の手術を受けました。手術前は歩けなくなったことに落ち込んでいましたが、手術が終わると別人のように明るくなりました。腰が痛くない暮らしを手に入れるということは、違う人生を手に入れることにほかならないのだと思います。

 私も骨の持病があるので、痛みで眠れない辛さはよく理解しています。繰り返す腰痛は、一度腰痛の専門医師に相談したほうがよいでしょう。腰痛は、診断も治療法も数多くあるので、セカンドオピニオンをとることもおすすめします。

(医療ジャーナリスト J&Tプランニング 財団法人日本ヘルスケアニュートリケア研究所代表市川純子)