山口 努力って、その方法が間違っているということは決してなくて、要は成長曲線の問題。成長は、ずっとまっすぐに上がっていくのではなくて、あるとき、まったく伸びない、フラットな状態が来るものなんです。さらに、フラットどころかスランプに陥ることもある。多くの人は才能がないと感じてそこでやめてしまうけれど、でも伸びない時期は誰にでもある。続けていけば、必ず抜けられるんですよ。

佐藤 続けるって大事なことですよね。私も、大学に入ってから勉強をずっと続けてきたからこそ、今社会で活躍できているのかなと思います。

山口 たとえば、ピアノの発表会で、「子犬のワルツ」みたいな難しくない曲でもいいからやってみる、テストで何の科目でもいいから90点とってみる。そんな小さな成功を重ねて、成長曲線をたどってみればいいと思うんです。そうすれば、どんなにスランプのときも、「今がいちばんゴールに近い」って思える。途中でやめない人が相対的に絶対有利なんです。

佐藤 そういう小さな成功体験で周りよりも頭1つスッと抜けることができると、楽しい。だから続けられるというのもありますよね。無理やり努力するのではなくて、習慣にしてしまえばいい。

山口 その点、私は社会人になっても同じことを繰り返すことをお勧めします。たとえば、学生時代と同じ教科書を読み続けるのもいい。同じ本をずっと読んでいると、ちょっと成長した自分に出会えるんですよ。前は全然意味がわからなかったけど、今はわかるな、とか。自分が向上していることを感じられれば努力って楽しくなりますから。

机の上の勉強だけが
勉強ではない

佐藤 社会に出てから思うのは、自分なりの習慣を継続しつつも、新しい刺激を取り入れるのも大事だな、ということ。常にワクワクドキドキすることも、成長に欠かせないですから。私にとっては、書籍を出したり、テレビに出たりすることが刺激になっています。

山口 その過程で新しい出会いもありますからね。出会いが多い人のほうが自分のチャンスをつかみやすく、成功しやすいって実証されているそうなんです。誘いがあったら、なるべく断らずに、新しい場所に飛び込んでいったほうがいいんですね。

佐藤 新しい人に会うと、価値観も広がりますからね。

山口 そういう意味では、社会に出てからは、机の上の勉強だけが勉強ではないという気がします。