努力はしているのに、なかなか成果の出ない人がいる。とくに「引きこもり」の心性をもつ人たちは、多かれ少なかれ、このような思いを抱いているに違いない。
「成果」って、何なのだろう?という議論もあろう。ちなみに、かのピーター・ドラッカーが出した著書『経営者の条件』は、原題が『The Effective Executive』で、「成果を上げる責任者」「結果を出す人」というような意味になる。
ところで、今年2月に出版された『17歳からのドラッカー』(学研パブリッシング)の著者である、ノンフィクション作家の中野明氏は元々、息子が17歳ということもあり、10代向けに、ドラッカーのマネジメントの思想をわかりやすく紹介したのが同書だった。ところが、実際に購読する層の大半は、中高年世代だったという。
大人たちがいま改めて、目標をもつことの意味や成果の上げ方、新しい働き方について、学ぼうとしているのだろうか。
そこで、こんな「引きこもり社会」の国で、道に迷っている人たちに向けて、著者の中野氏にメッセージを聞いた。
目標を高く掲げすぎる「引きこもり」の人たち
“小さなコップ”の考え方で目標管理を
「成果は、勧められるわけではない。コップに水をずっと入れると、急に溢れだすけど、溢れる前と溢れた後では、状況が違います。成果は、コップから水が溢れだすときに近い。“ああ、何かできるようになってきた”と思える瞬間だと思うんですね。ただ、そう思えるようになるまでの時間は、とても長い。溢れるまでは、誰もがとても地味な活動を続けていけなければいけないんです。途中で“もういいや”“繰り返しやっても成果が出ないや”と止めてしまうと、水は溢れてきません。それをどう続けていくかが大切なんです」
いま、どんなに華やかな舞台で仕事をしている人にも、必ず下積みの時代があった。長い下積みの結果、ある日、成果が上がったと理解する自分に気づく。しかし、いきなり水が溢れだすことはない。