海までの約300mを4時間ほどかけて延焼している。ここから延焼速度は、70~100m/hという数字が得られる。酒田大火の90~120m/hに比べてやや遅い。関東大震災などと比べると、遥かにゆっくり燃えている。消防の放水や耐火造の存在が延焼の遅延に寄与している。また、隙間なく建ち並んだ木造群にあっても、隣家間の界壁(かいへき)が延焼を遅らす働きをしたと考えられる。界壁が水平方向への拡大を抑制したこともあって、火炎は垂直方向に屋根を突き破って噴出し、大きな火の粉を撒き散らす一因となっている。

今回の大火は人為的要因、自然的要因
社会的要因が絡み合って起こった! 

 今回の火災では、鍋を火にかけたまま放置したという「人為的要因」が引き金になっている。しかし、それだけでは大火にならない。失火を大火にする拡大要因がそこに加わって大火になっている。その一つが、フォッサマグナを吹き降ろす強風が、長時間にわたって吹きつけたという「自然的要因」である。「姫川おろし」と呼ばれる強風は、激しい延焼をもたらすともに、大きな塊の火の粉を遠くまで吹き飛ばしている。

 二番目に指摘しなければならないのが、老朽化した木造建物が密集し燃えやすい市街地が存在していたという「社会的要因」である。この密集状態は、大量の可燃物の存在による延焼のしやすさだけでなく、消防隊の進入を阻む形での消火のしにくさにつながっている。それに加えて、もうひとつの社会的要因がある。それは、大火に対抗できない消防力や消防態勢の弱さである。これについては、後に詳しく触れることにする。

酒田大火後に再建された中通り商店街(画像提供:室﨑益輝教授)

 以上をまとめると、人為的要因、自然的要因、社会的要因が絡み合って大火が生まれたのだが、そのなかでも、「強風」という自然的要因、「密集市街地」という社会的要因、「消防力不足」という社会的要因が、今回の大火の3大要因だということができる。ところで、大火のメカニズムから見ると、強風といった自然現象が引き起こす大火と、地震という自然現象が引き起こす大火とはなんら異なるところはない。国は今回の大火に自然災害を対象とした「被災者生活再建支援法」の適用を決定したが、この要因のメカニズムからして被災者の立場に立った妥当なものだった。