東日本大震災は未だ続いている。危機的状況下で我々はどう行動すべきなのか。連載「社長!事件です」の執筆者で、危機管理の専門家であるACEコンサルティングの小川真人代表が、行動の拠り所となる指標を示す。
現在、日本は危機的状況に瀕している。東北関東大地震がその最初の原因であるが、その大地震後の状況に対して的確に対応できないことも、その大きな原因である。
危機状況下の行動こそ
組織・個人の真の姿を現す
大地震は突発的事象であり、天災である。東北関東大地震により自然の脅威を再認識させられる一方、これは制御不能ではないかとの諦めもある。しかし、その後の対応の悪さにより誘発される危機的状況は、回避可能な部分もあったはずで、ある意味人災である。
つい先日、世界第2位の地位を中国に抜かれたとはいえ、世界有数の経済大国になった日本。世界で一番安全な国であるに違いないと信じてきた日本。しかし、この1週間、我々が目の当たりにしてきた光景、伝えられる報道は、そのような日本の自負をあざ笑うかのように、悲惨な現実を映し出している。
福島原発に関して場当たり的な対応を繰り返し、その状況変化に一喜一憂するだけで、結果として状況悪化を防ぐことができない日本。世界でも有数なレベルにまで豊かになったはずなのに、被災地において現実に生じている物不足・燃料不足に対応できない日本。首都圏で電力不足を突然告げられ、右往左往する日本。どれ一つをとっても、日本の底力のなさを反映し、人々を悲しくさせるばかりである。
この日本とは、誰のことであろうか?政府なのか?地方公共団体なのか?特定企業なのか?いや、組織一つ一つ、我々一人一人が、実は、「日本」そのものなのである。だからこそ、組織ならびに個人は、この危機的状況に際して、日本の代表として、国を、国民を、そして、我が国とどこかでつながっている世界中の人々をも救う気概をもって、誠実性を具体的な行動を通して示すべき時なのである。
このような危機的状況下でそれぞれの組織・個人がとった行動は、その組織・個人の真の姿を表すものである。数百万の美辞麗句よりも、実際にとられた1つの献身的な行動が、組織・個人の誠実性を示す指標なのである。マスコミを含めた社会全体が、この緊急時において各組織・個人がとった行動を正しく認識し、その後の組織・個人の評価に反映させることも、重要であると考える。