消費者の「細いものと太いものをはっきりしてほしい」というニーズをくんで、1年もの月日をかけて丹念にリニューアルに取り組んだ。14年から細身のデザインの「スキニータイプ」と、太めな「ボーイフレンドタイプ」のバリエーションを増やした。

 結果はすぐに出た。14年の製品数を13年の3から6にまで増やしたこともあり、販売本数は13万本から約3倍の39万本に急増。その後も堅調に伸び、15年には55万本に。16年は75万本を見込んでいる。

「無印らしさにとらわれて、消費者ニーズが置き去りになっていた」と田中。リニューアルを通して気付いたのは、「シンプルで消費者の役に立つ商品こそが、無印らしい商品ということ」だった。

 17年1月から販売される新作のデニムパンツには、後ろポケットの上に、スマートフォンがぴったりと収納できるサイズの「三つ目のポケット」が付けられた。

 スマートフォンや携帯型デジタル音楽プレーヤーなどの小型機器の普及に対応するもので、「ポケットが多く欲しいというニーズをくんだ」(田中)。こうした小さな機能を付与することで、無印のデニムは他社製品と差別化され、これからも進化を続ける。

無印が守り続ける
三つのコンセプト

 無印の衣服にはコンセプトが大きく三つある。「華美な装飾はしない」「日常着に選ばれる価格で販売する」そして、「地球(環境)に優しく」だ。

 華美な装飾を避けることは、コストダウンにもつながる。例えばデニムのオーバーダイ加工。これはデニム製品の後染めのことで、元の色の上に染色をするもの。通常の染色では出にくい、古着のような独特な色合いを表現できるのが特徴だ。しかし、田中は日常着として着るには不要と判断し、17年発売のモデルからこの工程を省く決断をした。

 一方で素材へのこだわりは譲れない。環境への配慮から、綿製品に使用する素材は無農薬で栽培された綿であるオーガニックコットンにこだわる。

 現在、無印が販売する衣服製品に使われる綿の98%がオーガニック。「早期に100%を目指していて、タグにオーガニックと書かずとも、当然無印の綿製品はオーガニックと認知されるようになりたい」と田中は言う。

 無印は今、世界展開を進めており、海外店舗は362店。国内の418店に近づいており、売上高の3割を海外(16年2月期)が占めている。無印のコンセプトが世界で受け入れられているのだ。