例えば既に店舗が200近い中国。ここでの爆発的な普及の背景には、80後(バーリンホウ)、90後(ジョウリンホウ)と呼ばれる80年代、90年代に生まれた世代の存在がある。

 彼らの世代は一人っ子が多く、親から甘やかされて育ったが故、周りに物が溢れているケースが多い。そんな生活に飽きた彼らが求め始めたのが質素でシンプルな生活スタイルで、「無印の思想が刺さっている」(田中)という。中国のほか、欧米などでも無印は普及しつつあり、物が溢れる先進国でこそ、無印の思想が受けるのだ。

 目下の悩みは、東南アジアなどの新興国での値付けだ。日常着を提供する手前、「現地の人が気軽に購入できる価格」を目指しているが、タイなどの新興国ではいまだその水準に達しておらず、高級品と認知されている地域もある。

 新興国でも無印のコンセプトを守ってオーガニックなどの素材にこだわりつつ、安価な値段で衣服を提供するのは容易ではない。

 それでも田中は「現地の人の役に立たないと、無印らしい商品とはいえない」と言い切る。日本でデニム改革を起こした田中は新興国での事業も成功に導けるのか。挑戦は始まったばかりだ。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 泉 秀一)

【開発メモ】オーガニックコットンデニム
 
 2017年1月から販売される新モデルは、後ろ右ポケットの上にスマートフォンなどを収納できる第3のポケットが付いているのが特徴。あくまでも日常着なため、古着のような色合いが出るオーバーダイ加工は省いている。写真はやや太めのモデルだが、細身タイプの「スキニー」も取りそろえ、自分の好みや体型に合ったものを探せる。