「FRBテーパリング」と
「日銀QQE」との相乗効果

1回目の円安が「日本の経済政策の大転換」に支えられていたのに対し、2回目の円安は日米の政策が相乗効果を発揮した例だと言える。当時、2014年4月の消費増税による悪影響で、日本は経済成長率にもインフレ率にも鈍化の兆しが見えていた。そこで同年10月、日銀は量的・質的金融緩和第2弾(QQE2)を発表し、国債・ETFなどの買い入れを拡大させた。これをきっかけに、1ドル100円前後だったドル円相場はわずか1ヵ月半で120円前後まで動いた。

これを背後で支えていたのが、米FRBの金融引き締めである。2014年夏場あたりから米国経済の堅調ぶりが目立っており、そのあたりから私は「FRBが量的緩和のアクセルを緩め、テーパリング(緩和縮小)に踏み出す可能性がある」という見通しを公表していた。日銀がQQE2を打ち出した10月には、実際にFRBがテーパリング開始を発表。「円のマネー供給量が増え、ドルのマネー供給量が減る」という期待がドル円の方向性を決める典型的なパターンが見られた。

以上2回の大幅な円安ドル高が、日本銀行の金融緩和強化、そしてFRBの緩和縮小といった政策転換によってもたらされたことは明らかだ。そして2017年からは再び、日銀が緩和を強化し、FRBは利上げを再開する見通しがある。つまり、基本的な構図はこれまでと同じであり、1ドル120円台の円安・ドル高が進む可能性は高い。