映画事業(の営業権)で1121億円にも上る減損損失を計上したソニー。グループ全体の2016年度通期営業利益(昨年11月時点での見通し)の4割に相当するだけに、発表翌日は株価が急落した。だが、減損をめぐって株主や投資家の注目を最も集めたのは、金額の大きさではなく、「なぜ今なのか」という時期の問題だった。
そもそも、ソニーにとって16年度は、構造改革を終え「再び成長に向けた歩みを始めた」(平井一夫・ソニー社長)年だったはずだ。
にもかかわらず、構造改革によって出し切れていない“ウミ”が実はまだありましたと、今になって言いだすようでは、企業としての信頼を損ないかねない。
減損に至った経緯について、ソニーの公式の説明はこうだ。
毎年12月に、各事業の中期的な収益見通しを精査しており、今回は17~19年度の3年間が対象になった。その中で、映画事業の収益の柱となっているDVDやブルーレイディスクといった映像ソフトについては、市場の縮小が想定していた以上に今後加速することが、議論の過程で浮き彫りになったという。
「悲観シナリオ」で収益見通しを作成しておいても、実際にはそのさらに下方で売り上げが推移するような、厳しい市場環境にあるわけだ。