「数字を使う」とはどういうことか?

「目標も結果も、数字で管理する」

「これはすでにやっているぞ」。そう思った人も多いかもしれません。ですが、それは何となく勘や経験に頼ったものではないでしょうか。

 ソフトバンクでは、そのレベルでは誰も話を聞いてくれません。ある数字が出てきたとき、なぜその数字なのかということを数字で裏付ける。そのレベルでの分析が求められます。

 たとえば、あるドラッグストアの販売実績が日によって変わったとします。そのとき、担当者が「売上が悪かった日は雨が降っている日が多かった、売上が良かった日は晴れている日が多かった」という分析をしたとします。

 これでは、ソフトバンクでは通用しません。

 多かったということは、雨の日にも売上のいい日があったということです。また、晴れの日にも売上が少なかった日もあったということです。天気は売上に影響を与えたのかもしれませんが、その効果は限定的だったことが考えられます。

 もしソフトバンクの社員なら、雨の日のどういうときなら売上が少なくなるのか、多くなるのか。そういうことまで分析します。

 そこまで分析すると、実は、天気ではなくて、近くのスーパーでセールをやっている日、競合店がクーポンを発行している日が関係しているかもしれません。

 ここまで情報が集まれば、そういう日に向けて対策を考えることができます。

 何となく分析していたことを、厳密に数字で見ていくことで、正確に物事をとらえる。

 そうすれば、最適化された行動ができます。正確な行動とは、目標達成への正しいアプローチであり、試している手法が正しいかどうかを明確に見極める行動です。

 数字には人を動かす力があります。数字で何か目標を立てることで、その数字を達成するために具体的に何をすればいいかを人は考え始めます。

 明確な数字があるから、どういう戦略を立てたら、どういう数字が上がるかを考えることができる。

 数字で、目標や結果を管理することで、より早く確実に成果へ近づくのです。