環境保護の観点から、これまでアメリカ合衆国のエネルギー資源の開発にかけられていた規制を撤廃すること。

 エネルギー関連のインフラ整備を再開すること。

 国連の気候変動対策への資金拠出を停止して国内に還元すること。

「世界の警察」をやめることで浮いたお金を国内で循環させることなどを明言しています。

 これらを見ていくと、共通していることがあります。アメリカ合衆国の国内雇用を守ること、そして新たに多くの雇用を創り出すことです。

「強いアメリカ」はどこに向かうのか

 TPP協定から離脱する意味が見えてきました。

 アメリカ合衆国、カナダ、メキシコで創ったNAFTAの下、アメリカ合衆国国内から多くの雇用が海外に奪われました。多国籍企業の利益にはなるけれど、労働者の利益にはならないということです。

「TPPは、中間層以下の人たちにとっては悪夢のようなものである」トランプはこう思っているのです。だからこそ、トランプは公共事業によって雇用を創出しようとしているのです。

 大統領選挙において、トランプは、長らく民主党が強かったラストベルトの中間層の支持を呼び込むことに成功します。

 ラストベルトとは、錆びついた(ラスト)地域という意味を持ち、五大湖の南東側に位置する地域のことを指します。ここ数十年間の脱工業化によって、製造業で使われなくなった機械を「錆び」に見立て、こう呼称しています。

 ここで貧困にあえいでいた白人層がトランプを応援したのです。

 アメリカ合衆国は長らく世界の覇権を担ってきました。随分と世界のあちこちでお金を使ってきました。

 それをアメリカ国内に戻そうとしています。労働者に利益をもたらすために。ある意味、ポピュリズムなのかもしれませんが、それもこれも「強いアメリカ」を創るため。

 だからこそ、TPP協定は不要と思っているのです。