アメリカより「豊か」になった
アイルランド

アメリカ合衆国には現在でも多くのアイルランド系の人々が居住しています。その数およそ3600万人。本国アイルランドの人口よりも断然多い数字です。ヨーロッパ系白人の出身国としては、ドイツ系に次いで2番目に多いのです。

 1990年、アイルランドの国民1人当たりGDP(1万4045ドル)は、日本の国民1人当たりGDP(2万5123ドル)の半分程度しかありませんでした。

 しかし2007年になると、国民1人当たりGDPは日本の3万4033ドルに対して、アイルランドは6万1388ドルとなりました。この年は、アメリカ合衆国が4万8061ドルでしたので、アメリカ合衆国よりも「豊か」になったのです。

 何が起こったのでしょうか?

 1990年代、アイルランドは法人税率を下げ、海外企業の投資を促します。「法人税の安いアイルランドに拠点を設け、そこからヨーロッパ市場へのサービスを展開する! 」という青写真を描いたのです。この結果、製造業のみならず、金融業や保険業も進出してきました。

アイルランドは、かつて食料難民となった自分たちの先祖を受け入れてくれたアメリカ合衆国のことを非常に快く思っています。そのため、アメリカ合衆国からの投資は大歓迎です。

 ジャガイモ飢饉により食料供給量が減少し、可容人口が少なくなったアイルランド。しかし、近年の経済成長によって就業機会が増え、そして可容人口が多くなったことで、アメリカ合衆国へ移民として渡った人たちの子孫が、アイルランドに「帰還」する事例も増えているのです。