ソニー創業者・井深大氏も絶賛した『赤ちゃん教育』 が大人気の「脳科学の権威」久保田競氏と「脳科学おばあちゃん」久保田カヨ子氏。
これまで、育脳教育の最重要指針に「早期からの算数力アップ」を掲げてきた。なぜなのか?
『小学校前にみるみる算数力がつく15の習慣』 が話題の著者に、「計算脳」について聞いた。

「計算脳」がわかったのはつい最近

久保田カヨ子
(Kayoko Kubota)
脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。この20年で3000人以上の赤ちゃんの脳を活性化させてきた。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。累計38万部突破のシリーズ『0歳からみるみる賢くなる55の心得』『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』『カヨ子ばあちゃん73の言葉』『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』『カヨ子ばあちゃんのうちの子さえ賢ければいいんです。』『赤ちゃん教育──頭のいい子は歩くまでに決まる』『カヨ子ばあちゃんの子育て日めくり』(以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評
【脳研工房HP】www.umanma.co.jp/

 計算(加減乗除)に関わっている脳は「計算脳」といわれ、前頭前野と下頭頂小葉で構成されています。

 ヒトが計算しているときに、脳の局所の脳の血液の流れの変化を、神経映像化法(ニューロイメージング)という測定技術を使い測定し、計算脳が決められました。

 計算脳がはっきりと決まったのは、つい最近の2011年頃です。

 しかし、サルの前頭前野で、数の計算に関係している「数ニューロン」の活動が報告されたのは、2002年でした。

 サルで単一の神経細胞の活動が記録できると、「数ニューロン」の働きが調べられるようになりました。

 ヒトで単一の神経細胞の活動を研究するのは難しいが、読者の理解を助けるため、そんな架空実験を行って説明をしてみましょう。

「時間遅れリンゴ食べ課題」

 実験室に机があり、その机の前にサルが座っているとします。

 サルが机の上を見ているときに、サルの眼前にリンゴを2個置いて、「食べてOK」という指示(視覚を使う)を与えたときだけ、指示から5秒たったら食べていいと学習させます。

 そして、前頭前野の1個のニューロン活動の記録を始めます。
 食べる指示で、どのリンゴを食べるか、左の1個か、右の1個か、両方の2個かを教えます。

 この課題は、「時間遅れリンゴ食べ課題」と呼ばれている課題です。