大正時代から現代まで、その時代の経済事象をつぶさに追ってきた『週刊ダイヤモンド』。創刊約100年となるバックナンバーでは、日本経済の現代史が語られているといってもいい。本コラムでは、約100年間の『週刊ダイヤモンド』を紐解きながら歴史を逆引きしていく。今回は、1960年代の高度経済成長期に起きた「昭和40年不況」から日本経済がたった1年間で回復できた背景を逆引きしていく。(坪井賢一)
東京五輪後に起きた「昭和40年不況」
大手企業が倒産するも1年で回復へ
1959-1969年度のGNP(国民総生産)成長率の推移を見ると、1965(昭和40)年が突出して低迷したことがわかる。名目成長率は二桁だが、これはインフレだったためで実質成長率は4.4%と、一桁台の前半だった。これを「昭和40年不況」という。
昭和40(1965)年に何が起きたのだろうか。
高度成長期の1965年10月に景気が下降し、1966年10月に底を打ち、再び上昇に転じた後は1970年度まで二桁成長を続けることになる。これを「いざなぎ景気」という。今から見れば昭和40年不況はたった1年間で回復したわけで、人々の記憶にはあまり残っていない。