そこで出て来たサービスの一つがブロマガです。月額864円で5冊分読めるサービスに、今では約7000人の読者がついています。アクセスしてくる人の6割は10代、20代で、紙の読者とはまったく違う。費用的には雑誌の校了データを変換するなどのアルバイト料で済む。

──デジタルには疎いとご自身でおっしゃっていますね。

 そうです、スマートフォンも持っていません。iPadはもっていますけどね(笑)。見るのはニュースと雑誌の販売動向ぐらいです。

──それにもかかわらずデジタル展開がうまくいっている。本質を見極めるため、どういうお考えをお持ちですか。

 混沌とした状況や困難な状況ほど、物事をシンプルに考えるべきなんですよ。冷静に考えれば、出版不況になっている理由はシンプルで、インターネットの影響です。

 出版社が書籍や雑誌を作って、それを出版取次に卸して書店で販売してもらうという従来のビジネスモデルは揺らぎつつあり、流通網が細ってきています。一方で、ネット上ではタダでコンテンツを流してきた。そのため、情報は無料だという「常識」がネット上を支配してしまった。このような「流通革命」が起きているから、出版不況になっている。

 それではどうすれば良いのか。答えは明白で、自分たちにしか作れない、お金を払ってでも読みたいコンテンツが何かを考え抜いてマネタイズしていくしかない。

 われわれにはそれが「スクープ」でした。スクープ力を徹底的に磨く。他が追随できないぐらいの突き抜けた存在を目指すということです。やはりスクープは日常的に追いかけていないと、足腰が弱ってしまい、いざというときに最初の一歩が出ないものです。

 そのため、意識してスクープ力を強化し続けてきました。投資もしたし、辛抱もしました。もしスクープが当たれば、その反響を利用して陣地を広げていく。日本中を巻き込むような反響を起こすことができれば、主導権は自ずと握れると考えていました。

 それまで、雑誌や書籍などのコンテンツメーカーは、ヤフーやLINEなどのプラットフォーマーとの力関係において圧倒的に不利な立場でした。主導権を握り返すには、少なくとも対等な関係を築くためには、プラットフォーマーが「どうしても欲しい」と思うような強力なコンテンツを生み出すことが求められるのです。

 2016年が転機でした。立て続けにスクープを出せたことで、プラットフォーム側から「課金モデルを一緒にやりましょう」という話をいただくようになった。対等な関係、正常な関係に戻せたことは大きいと思っています。