もしもソフトバンクの社員が複合コピー機を売ったら?
これがもしソフトバンクの新人なら、どんなふうに仕事をするでしょうか。連載第6回の8ステップに当てはめて考えてみます。
新人は「1ヵ月5件の契約をとる」を大きな目標に設定し(1)、その達成のために仮に「1日につき、10人の見込み客と3分以上話をする」という小さな目標(個人目標)を立てました(2)。
そして、小さな目標を達成するために、上司からもらった「見込み客リスト」(3)に片っ端から電話をかけることにしました(4)。
リストの連絡先に電話をかけるたび、「何分話せたか」「どんな内容の話をしたか」などを細かく記録していきました。また、自己紹介の仕方を変えてみたり、さまざまなパターンの質問を投げかけたりして、思いつく限りのセールストークを試しました。
そして1日の終わりに、個人目標を達成できたか必ずチェックし(5)、明日はどうやって電話をすればいいかを考えました(6)。
1週間ほど経っても、まだアポはとれません。それでも記録をつけるうちに、電話をかけた相手の職業や年齢によって、電話のつながりやすさや会話時間が変わることに気づきました(7)。
そこで記録をもとに、2週目はつながりやすい属性の見込み客に集中して電話をかけました(8)。すると、3分以上話せた相手は目標の10人を超え、1週間で5件のアポがとれたのです。
3週目は、アポがとれた相手を訪問し、うち1人をショールームに案内して、自社製品を実際に試してもらうことになりました。そして4週目には、その相手と契約を交わし、初の契約をとることができました。
結果的に「5件の契約」というノルマは果たせませんでしたが、「1日に10人と、3分以上話す」という目標を1週間にわたって毎日達成すれば、ひと月後に1件の契約はとれる見込みが立ちました。
そこで新人は「来月は1日につき、10人と3分以上話すことを毎日の目標にすれば、月間では毎週の積み重ねの累積の効果で契約もひと月に5件とれる」と考え、それを実行すると決めました。
この新人は来月以降、毎月のノルマを達成していくはずです。
なぜなら、高速PDCAの手法で最もすぐれた方法を手に入れたからです。