見こみ客に信頼されるのは、売りたい企業の自画自賛ではなく、他者からの賞賛。このコンセプトを実現する販促手法が、顧客の写真とインタビューを使ってコンテンツを作る、事例広告という方法です。今回は、その事例広告の「使い方」についてくわしくお話ししていきます。事例広告の使い方は、大きくは、営業マンが顧客に手渡す「積極型」か、ホームページに載せて見込み客に見てもらう「待ち受け型」かのどちらかになります。
顧客に手渡しする最強の営業ツール
初めての顧客と商談するとき、いちばん大変なのは、まず信用してもらい、こちらの話に聞く耳を持ってもらうという「初期の信頼形成」です。
「今、何かお困りのことはありませんか」と聞いてみたとしても、相手は「困っていることはあるが、なんでそれをオマエに教えなきゃいけないんだ」と余計に心を閉ざすでしょう。初回訪問では、相手はあなた(またはあなたの会社)のことを「つきあう価値のある相手かどうかわからないし……」と値踏みしています。
あなたが自社の商品、サービスの良さを華麗なトークで熱弁しても(仮にそれが伝わったとしても)、「御社の商品が素晴らしいことはわかりました。で、実績は?」と切り返されるかもしれません。お客様としては実績のない商品は、怖くて使いたくないのです。
初めての商談時に信頼を勝ちとるために
この「実績のカベ」を乗り越えるには、事例広告(顧客事例)を見せるのが、もっともストレートで効果的。これならば、営業トークの上手い下手に関係なく、どんな営業マンでも、等しく「初期の信頼形成」を行うことができます。
なお、商談で事例広告をよく使っている熟練営業マンによれば、「商談中に事例広告を机の上に置いて、内容について熱弁するのはNG。語れば語るほどうさんくさくなるから」とのこと。
そうではなく、軽く手渡して、あとは相手が自分のペースで自由に読むのに任せるぐらいが良い。あるいは、商談が終わり、書類など片付け始めるタイミングで、「これ、ご参考までに」と手渡して帰るのも有効とのことです。
商談に行く前のあいさつメールなどで、自社の事例広告のホームページのアドレスを2、3あらかじめ送っておくのも効果的です。こうして、初期の信頼形成を事前に行っておけば、商談を始める際の「あたため」のプロセスが不要になり、すぐに営業の本題に入れるわけです。