作家、出版社経営、リクルート社の
ビジネス設計理論から学んだコンテンツの作り方

 ぼくは長年、出版業界で仕事をしています。作家としては20年間活動しており、これまでに出版した本は約50冊、すでに累計150万部を超えています。また同時に、出版社の経営者として12年間、「書籍」という体裁を通じて「売れる商品・売れない商品」を見てきました。

 20年、出版業界に携わるなかで、とても重要なことに気がつきました。それは「人々の興味を惹くものには共通点がある」ということです。そして同時に、「興味を惹けないものには、傾向がある」ということです。

 出版社を経営していると、多くの出版企画が送られてきます。ただ、率直に言って、そのうちのほとんどは箸にも棒にも掛かりません。内容を吟味してNGと判断するというより、見た瞬間NGなものがほとんどです。

 なぜ内容を読む前からNGであることがわかるのか? それは、そこに書かれている内容が「人の興味を惹く条件」を満たしていないからです。出版業界で編集作業に携わっている人は、この感覚をみんな持っています。

 ほとんどの編集者が、出版の企画書を見た瞬間、いいか悪いか(それが人の興味を惹くかどうか)を判断できます。ぼくは出版業界で、その感覚を身につけました。

 ぼくが本格的に出版事業に携わったのは、サイバーエージェント社で出版社の子会社を立ち上げた時でした。2004年8月、アメブロのおもしろいブログを書籍化する出版社(アメーバブックス)を立ち上げました。

 アメブロで圧倒的な人気があった『実録鬼嫁日記』を書籍化して出版すると、瞬く間に大ベストセラーになりました。フジテレビで連続ドラマにもなり、週刊誌でマンガ化もされました。

『実録鬼嫁日記』は、“鬼嫁”な奥さんを持つ旦那さんの日常を描いたコメディ日記で、多くの人から共感を得ました(笑)。

 この他にも、お役立ち情報が書かれたブログをまとめて書籍化したり、株式トレードの方法やビジネスのやり方が書いてある人気ブログを書籍にして出版したりしました。

 当時、「ネット(ブログ)とリアル(書籍)は違う」と言われていましたが、ぼくの中では「ネットでもリアルでも求められるものは、求められる」という感覚を強く持っていました。

 もちろん、インターネットと紙では、それぞれに「合ったもの」があります。でも、みんながほしいと思うものは、どんな形式でも共通しているなと強く感じたのです。ただし、当時は、消費者が「ほしいと思うもの」が何なのかまでは明確に捉えられていませんでした。

 アメブロのランキング情報などを参考にすることができたので、人気コンテンツを探すことはそれほど難しいことではありませんでした。そしてそれを編集して本にすればよかった。この時「ネットで人気のものが、書籍にしても売れる」ということはわかりましたが、じつは、それが何かまでは言語化できなかったのです。

 それを言語化できるようになったのは、リクルート社での経験を通じてでした。リクルート社で、その感覚を言葉にするヒントを学んだのです。