「総理からは以前にも増していろいろな課題の検討指示等が出されますが、復興基本法以外のものは菅総理の下では決められないか、又は決めても総理が変わったら反故になるおそれがあるとの認識が広がっており、重要な意志決定はほとんど行われる雰囲気がありません」
霞が関の官僚たちが脱力感に苛まれている。
「総理が、先日、唐突に指示した平成23年度第2次補正予算の編成も、総理の指示の中で『(今回の補正予算は)本格的な復興対策に先行して編成』という位置づけにしているため、うちだけでなく他省庁もほとんど予算要求しないのではないかという状況です」
なぜ官僚たちは暇を持て余しているのか
復興の足を引っ張る「総理の延命策」
各省とも予算要求しない理由は官僚のヤル気喪失ではない。現在各省が本気で検討しているのは、当たり前だが、本格的な復興対策を前提としているものがほとんどであり、当面の復旧策は第一次補正予算で既に措置積みだからだ。だからいま霞が関の官僚たちはやるべき仕事がなく「日中も暇な時間が多くなってきた」という。こんな馬鹿な事態があり得るのだろうか。想像を越える菅政権の空洞ぶりにある中堅官僚が嘆いた。
「憂慮すべき状況です。本格的な復興に向けて検討するべき課題はまだまだ多く、一日も早い被災地の復興のためには一刻の猶予も許されないはずであるにもかかわらず、実際は人的リソースが空費されてしまっています。補正予算の例で言えば、ほとんど意味のない2次補正予算の編成をすることにより、その検討から閣議決定、国会での審議可決等少なくとも1ヵ月以上を余分に費やしてしまいます。それなら最初から本格的な復興を前提とする3次補正を検討するべきです」
6月22日、民主党は菅独走に引きずり倒され、自民・公明との話し合いも反故にして、会期の70日間延長に踏み切った。
「3次補正も自然エネルギー全量買い取り法案も自分でやる」と菅直人は意気軒高で、もはや退陣表明など一切なかったかのような振る舞いになってきた。