3.24時間365日決済の導入

 先にも書いたが全銀システムについては、さらに2018年10~11月(日程未定:今期中決定)に、24時間365日決済ができるようになる。通称、モアタイムシステムと呼んでいる。これもまた利便性の向上は著しい。
 実はこのモアタイムシステムは、最新の第7次全銀システムの一部だ。全体のリリースは2019年11月だが、この24時間365日決済のモアタイムシステムの部分だけが先行リリースされ、使用できる形となる。なお誤解が多いが、全銀システムの銀行手数料は「約6.5円」で、極めて廉価なのが真実である。

 このように法人・個人の決済インフラの高度化は著しい。このほかにも、決済と同時に付随する情報を伝達するEDI(電子データ交換・Electronic Data Interchange)への対応として、新システムを構築する計画になっている。ただ、EDIについては現在でも全銀システムに機能があり、文字数も無制限だが、ほとんど使われていない。決済は商取引の最終段階であり、データ等を送る必要性に乏しいためだ。入金消込の参照番号があれば十分である。現在も使われていないものが、急に使われることはないだろう。

米銀でもフィンテックのサービスは収益源ではない

 ニューヨーク・ワシントンで米銀や金融関係の公的機関と面談し、彼らの決算でも確認したが、フィンテックが進んでいるといわれている米国で、大手銀行でさえフィンテックのサービスは提供していない。東海岸(ワシントン、ニューヨーク)ではフィンテックという言葉すら使わず、もっぱら西海岸のIT系の人が使用している。フィンテックに対応しようとする姿勢は株主対応としても大事であるが、以前に本連載でも書いたように、軽率な経営的判断は禁物である。

 メガバンクや地銀を始め、銀行等の金融機関を取り巻く経営環境は、極めて厳しい。金融庁の指導「森ドクトリン」への対応も急務かつ負担が大きい。金融機関は不況業種になりつつあり、しかも現在、株主総会も近い。生き延びていくために経営的に優先順位を付けなければならない。過剰品質は抑えなければならないし、何でもかんでも海外が優れている、海外のインフラを導入する必要はまったくない。決済インフラ改革は、主として全国銀行協会(全銀協)を中心に業界一丸となって検討し推進している。この状況下でも、メガバンク等は海外送金などでも個別に経営努力し、対応している。

 また、最近、特にインフラを狙ったサイバー攻撃が多い。決済でもっとも大事なのは安全性である。多くの日本の銀行も使用している海外・市場系の金融機関間ネットワークSWIFT(スイフト)も、ハッキングされ不正送金が発生した。北朝鮮の仕業と噂されているが、バングラデシュ中央銀行の資金がフィリピンのラサール銀行のマニラ支店に送られ、引き出されるといった事件も起こった。SWIFTの発表では、ほかにも事件が起こっているようだ。SWIFTは大丈夫という印象が大きかっただけに、深刻な問題となっている(この事件は映画化されることになった)。

 日本の金融機関の経営は本当に厳しいが、このように全銀協が取りまとめて進める改革によって、日本の決済インフラは世界最高水準に到達しようとしているのである。

(経済学博士・エコノミスト 宿輪純一)