スペインでは闘牛廃止のために18万人の署名が

ドイツの動物保護施設は1000も!石黒謙吾(いしぐろ・けんご)
著述家・編集者 1961年、金沢市生まれ。著書には、映画化された『盲導犬クイールの一生』『2択思考』、“分類王”の『図解でユカイ』他、『エア新書』『短編集 犬がいたから』『どうして? ~犬を愛するすべての人へ』など幅広いジャンルで多数。近刊著書は『分類脳で地アタマが良くなる』。プロデュース・編集した書籍も、ベストセラー『ジワジワ来る○○』(片岡K)、『ナガオカケンメイの考え』(ナガオカケンメイ)、『負け美女』(犬山紙子)、『ネコの吸い方』(坂本美雨)、『犬と、いのち』(渡辺眞子) 『マン盆栽の超情景』(パラダイス山元)など200冊以上。■ブログ http://www.blueorange.co.jp/blog/

石黒 ちょっと話しが横にそれますが、使役動物についての心に深く残ったことがあります。以前、シベリア抑留者の方が描いた油絵を『シベリア抑留 ~絵画が記録した命と尊厳』写文集にまとめました。その中で、馬が重たい材木を運んでいる絵があります。強制労働と極寒で人がばたばた死んでいくのですが、馬も相当に重い荷物を延々引かされて、涙を流していたと……。そして人と同じ運命をたどって……。あの話しで号泣でした。

本庄 ああ、それはきついですね……。それとつながるのが、本にも書いた、スペインの闘牛についての話しです。私がインターンとして訪ねたバルセロナは、スペインの中でも動物保護の意識が高いと言われているんです。そこの女性弁護士ががんばって、カタルーニャ地方議会で、闘牛廃止の法案を通したんです!

石黒 それは素晴らしいことですね! あれはずばり残虐極まりない行為だと思います。闘牛もですが、高知の闘犬なども同じで、ああいうものを面白がって見ている人とは、僕自身は関わりたくないと思っています。

本庄 議論のあるところですよね。闘牛は、徐々に牛を殺していく残虐なゲームですし、闘牛士の命も危ない、そして子どもの教育にもよくないと、2008年には、18万人もの廃止嘆願の署名が集まって、しっかりと議会で審議されたんです。

石黒 そして本に出ている、あの建物につながったと。

本庄 はいそうです! 闘牛場の建物自体は、こういうことが行われていたという歴史の証としてそのまま残し、中は大きなショッピングモールなんですよ! このギャップに中に入ったときは、その2つに関わる人々の意識の差を感じて、そこに今自分がいること自体に不思議でした(笑)。

ドイツの動物保護施設は1000も!闘牛場の外壁をそのまま利用したショッピングモール(スペイン)
ドイツの動物保護施設は1000も!建物の中には迫力のある巨大な吹き抜け(スペイン)