ドイツの私営シェルターはサッカー場30個分!
石黒 とわかっていながら、20ヵ所以上のシェルターを巡ったと(笑)。本にはいろいろなスタイルの施設が出てきますね。盲導犬のことで、アメリカの訓練施設がきれいで先進的であることは知っていましたが、このドイツの写真には驚きましたよ。
本庄 ですよね! 私もそのベルリンのティアハイムのシェルターを訪れたときにまず、なんて大きいんだろうと。ヨーロッパ最大と言われています。ちなみに、ティアハイムというのは「動物の家」という意味なんです。
石黒 ベルリンの施設の広さはどれぐらいなんですか?
本庄 敷地全体で、サッカー場30個ぐらいだとかで(笑)。
石黒 「東京ドーム算」的な(笑)
本庄 もう、見渡せるような規模ではないんです。そして、ただ大きいだけが特徴ではなく、中に動物たちが、ぎゅうぎゅうに入ってるわけじゃないところがすばらしいですね。明るくてきれいなシェルターに、家族連れが訪れてのんびりと過ごし、家族として迎え入れる犬や猫を探しているのがとても心地良い光景です。
石黒 写真だけでも、中にも日光が気持ちよく差し込んでいるのがわかってなごみます。なんと、私営なんですよね?
本庄 そうなんです。人々の寄付が中心で運営されています。
石黒 ドイツでは私営が多いんですか?
本庄 ここは私営ですが、もちろんそれだけではなく、地域によっては町ごとに公立のシェルターがあったりするようです。国内全体で、ティアハイムと呼ばれる施設は、1000もあるという話です!
動物保護先進国でも、捨てる人がいるからシェルターがある……
石黒 すごい数……。そういえば、ドイツにはペットショップがないって聞いたことがありますけど、どうなんでしょう?
本庄 私が2013年にドイツに行った時は1つだけしかなく、そこも市民からバッシングを受けていた話を聞きました。犬や猫を飼いたければ、知人のところで生まれた子どもを譲り受けるか、しっかり認可を受けたブリーダーか、あるいはまさに、シェルターで迎え入れるということですね。
石黒 理想的な状況ですね。繁華街で夜中に営業して、酔って調子づいたお客さんに勢いで子犬を飼わせようという狙いでペットショップが営業している日本とは雲泥の差ですね。まずは法でそこに持っていかないと、と思いますよね。
本庄 本当にそう思います。ドイツに限ったことではなく、欧米では、ブリーダーの資格を取るのはかなり難しいようです。そうしないと、動物をビジネスオンリーで扱うブリーダーが出てくることにつながりますね。
石黒 ですね。そして捨てたりする人はどうなんでしょう?
本庄 もちろん日本に比べたら少ないのですが、それでも、そんなドイツをはじめ欧米の動物保護先進国でも、捨てる人がいるからシェルターがあるわけですよね……。
(続く)