集まる「もしドラ」の活用事例
「週刊ダイヤモンド」で特集されて、活用事例のパンフレットに。
――紹介する側のメディアの仕事を楽にしてあげる発想かと。
加藤 そうなんです。「メディアを顧客にする」というのは、メディアの人が楽に仕事できるように、こちらでできることはなんでもしようという発想です。
――「もしドラ」では具体的にどんなことをした?
加藤 売れるとともに読者カードや雑誌や新聞の記事が集まってきて、読んだ人がどういう使い方をしているか、つまり「もしドラ」の「活用事例」が集まりだしてきたのです。
例えば、ヘアサロンの業界誌に小さい記事が載りました。ある美容院で、店長が「もしドラ」を読んで若い店員さんに読ませていると紹介されていたんです。ネットで検索したら、その美容院は「GARDEN」という有名なお店で、ダイヤモンド社の隣のビルにあったんですが(笑)、すぐにそのお店に行って、店長を指名させてもらって髪を切ってもらいました。そして雑誌の記事を読んだ話をして、広報の人も紹介してもらって、「今後、テレビでの取材を依頼してもいいでしょうか。もちろん番組の趣旨に添わなかったら断ってくれて結構ですから」とお願いしました。そんなふうにして、取材側・メディア側のための資料をつくりはじめたわけです。
こうした活動をいくつもやり、「活用事例」のリストが出来上がってきます。それをテレビ局の人に見せると、彼らは下調べをする手間が省けるので、撮影しようかと現実的に考えてくれます。すでに取材先のリストもあり、それらの承諾も取れていますから。また、番組の視聴者層に合わせて、取材先の提案もします。「視聴者に女性が多いんだったらこのネイルサロンはどうですか? 若い女性の店長さんが『もしドラ』で勉強してくれているから、視聴者層にもあっているし、おしゃれな店だから絵になりますよ」といった感じで。
――『週刊ダイヤモンド』でも多くの記事が出ていたね。
加藤 そうなんです。そのうち『週刊ダイヤモンド』が特集を組んでくれて多くの活用事例が掲載されました。その雑誌がそのまま活用事例のパンフレットになったんです。それをテレビ局の人と話す際に、「バラエティ番組だったらこんな事例はどうですか」とか「報道番組だったらこういうケースがありますよ」と雑誌をめくりながら、相手の企画に沿った材料を説明できて助かりました。
10月に「もしドラ」の翻訳権の交渉で北京に行く際は、事前にテレビ局の人にお話したら、「動画を撮ってきてください」と業務用のカメラまで渡されました。それで北京でのブックフェアの様子や実際の書店の様子、それから北京の町並みも撮影して動画をお渡ししました。自分が撮影した映像がテレビで使われるのは妙な気分でしたね(笑)