新興国の経済成長力をなめてはいけない!

朝倉 いまの30代が老後を見据えた資産運用を考える際にポイントとなるのも、親世代とはまったく“常識”が異なるということです。高度経済成長を牽引してきた世代、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた時代を体験した世代は、アジアや中南米などの新興国をなめてかかっているふしがあるように思います。

 しかし、「BRICs」と呼ばれるブラジル、ロシア、インド、中国のGDPは、2010年には世界全体の16.4%を占めるまでになっているんです。米ゴールドマン・サックス社は、20年後にはこの割合が34.1%にまで上昇し、日本はGDPで世界第4位に転落すると予測しています。

 経済成長に伴って新興国の発言力も増し、リーマン・ショック後は、世界の政治や経済においてG8に新興国を加えたG20と呼ばれる国々による会合の重要性が高まっているわけです。

 このような世界経済の枠組みの変化を踏まえれば、資産運用においても、投資先として新興国に注目すべきでしょう。新興国がかつての日本のように高度経済成長を遂げつつある一方で、日本経済の成長は鈍化しているのですから、いまの30代が親世代と同じような行動をとっていていいはずがありません。

「親世代の“常識”はもはや通用しなくなった」との見方はおふたりとも同じ。

深田 親世代が若かった頃はいまより金利もずっと高かったので、銀行にお金を預けておけば簡単にお金を殖やせましたよね。いまの30代は預貯金ではほとんどお金を殖やすことができないわけですから、将来に向けて資産形成していくには、“自分でお金を殖やす力”をつけることが必要だと思います。

 家計相談を受けていて感じるのは、「給料が上がらない時代」といわれながらも、50代の人はそんなにお給料が下がっていないということです。40代も、30代の頃にお給料がある程度上がった後で“横ばい”になっている人が多いと思います。

 でも、いまの30代は、お給料が大きく伸びることがないまま“横ばい”が続いてしまっているんです。このままでは、30代と上の世代との間で、生涯収入に大きな差がついてしまうかもしれません。“殖やす力”をつけることは、人生は乗り切りやすくするという意味でも重要です。

 投資のトレーニングには、私はまず日本株インデックスファンドを買ってみることを勧めています。日経平均株価やTOPIXの動きは、金融情報サイトやテレビ、新聞のニュースなどで簡単にチェックできますから、投資初心者には「株価はこういう時に上がるんだな」といったことが実感しやすいんです。