スーパーフードブームに乗って
市場が急拡大
近年、スーパーやコンビニの冷蔵棚(ショーケース)に、牛乳や豆乳と並んで陳列、販売されるようになった飲料がある。それは「アーモンドミルク」だ。牛乳、豆乳に次ぐ「第3のミルク」と言われ、日本では米国のブルーダイヤモンド社の製品が2013年に販売されて以来、ほぼゼロだった市場は急成長。15年には25億円を突破し、16年は40億円に迫る勢いとなっている。
シェア8割の最大手、江崎グリコの商品「アーモンド効果」は、16年度に前年の約2倍に伸長。通常のベーシックな味に加え、コーヒーやチョコレート、黒ゴマを配合したタイプなど6種の味を展開している。全スーパーでの配荷率(販売店舗の割合)は約60%で、これも伸びる傾向にあるという。現在、北欧メーカーの食器などが当たるキャンペーンや、イオンモールで試飲イベントを実施し、さらなる普及を狙っている。
アーモンドミルクは「ミルク」と名付けられているが、牛乳は配合されていない。実際は、水で浸したアーモンドをミキサーなどで細かく砕き、かすを漉した飲料。つまり、基本的な原料はアーモンドと水の植物性飲料である。これをメーカー各社が製法に独自の工夫を加えて、味や飲みやすさを調整している。
例えば、江崎グリコでは焙煎したアーモンドを繰り返しすりつぶしたり、高圧で微細化したりする製法で、香ばしさとなめらかさを実現。筆者も「アーモンド効果」を飲んでみたが、アーモンドの香りが鼻に抜け、口当たりも程よく、思いのほか美味しく飲めると感じた。
では、アーモンドミルクはなぜ最近になって売り上げを伸ばしているのか。美容・健康と食の関係に詳しい、「@cosme」を運営するアイスタイルの新井裕久氏は、こう話す。
「15年頃からセレブ発で、栄養価が高く、健康や美容に良いとされるスーパーフードが流行しています。実は、アーモンドも他の食品に比べてビタミンEの含有量がトップクラスで、その他オレイン酸や食物繊維、ミネラルを含み、低カロリー、低糖質なスーパーフード。それを効率良く摂れるアーモンドミルクに、栄養価に敏感になっている今どきの女性からの支持が集まっているのです」
特に、ビタミンEは女性ホルモンの分泌を調整して生殖機能を維持する作用があるとされ、“妊活”で注目されている。その他にも美肌、冷え・肩こりの改善、アンチエイジング効果もあると言われ、現代の女性が熱い視線を向ける栄養素の1つであり、訴求力が高い。