ルール2
YOUメッセージではなく、Iメッセージで

「例の顧客との一件、こちらの言い分を飲んでくれたんですか? ラッキーでしたね」
「またクレームですか、それは大変ですね」
「そんなことだから、ミスを連発するんですよ!」
「どうして、ちゃんと手順どおりやってくれなかったんですか?」

 年上部下に、こんな物言いをしていませんか?

 これらは、典型的な「他人事」のコミュニケーション。「あなたは~ですね」という相手を主語にした伝え方は、「YOUメッセージ」と呼ばれます。

 YOUメッセージは、事実はどうあれ、相手の心情や状況を決めつけ、相手を責めているように聞こえがちです。また、どうしても「上から目線」で「他人事」という響きが強く出ます。

 本人にしか本当の気持ちや事情はわかりませんし、上司である以上、部下の仕事はすべてあなたに関係があります。最後の責任は上司にあるのです。ただでさえ、お互いに言葉の裏を読み合い、本音がわかりにくい年上部下に対して、誤解をうみやすい表現は使わない方が賢明です。

 そこで、お勧めしたいのが「自分事」で語る「Iメッセージ」でのコミュニケーションです。

「例の顧客との一件、こちらの言い分をのんでくれて、私もうれしいです」
「クレーム大変だと思いますが、自分も応援します」
「立て続けのミス、自分も悔しいです」
「どうして手順どおりにできなかったのか。私は残念でなりません」

 Iメッセージは「私」を主語にしているので、焦点が「相手の行動や感情」から「あなたの感情」に移ります。「自分はどう感じているか」を正直に相手に伝えることで、相手は「責められた」という感情を抱かずに、素直にそのことを認めやすくなります。

 YOUメッセージとIメッセージとの違いがはっきりわかるのが、よく目にするトイレの貼り紙です。

「トイレを汚さないでください」
「いつもきれいに使ってくださってありがとうございます」

 どちらのほうが、自ら「きれいにしよう」という気が起きるでしょうか? もちろん、後者ですよね。

 アリゾナ州立大学のロバート・チャルディーニ教授は、ホテルの宿泊客に対してタオルのリサイクル促進の実験をした際、メッセージによって共感度が大きく変わることを実証したそうです。

「環境にやさしくしましょう」「環境を守るため、私たちのパートナーになってください」は効果のあったメッセージ。「環境保全に協力してくださるお客様の仲間入りをしていただけませんか」はさらに効果が大きく、「ホテルのエネルギーの節減にご協力ください」は最も効果が低かったとか(『シェア』レイチェル・ボッツマン/ルー・ロジャース著)。こちらもIメッセージ、さらにはWEメッセージの効用を証明するエピソードです。

 自分の言葉使いがYOUメッセージに偏っていないか、チェックしてみましょう。年齢に関係なく、部下とよい関係を築くのに有効なコミュニケーションなので、ぜひ取り入れてみてください。