ルール3
指示・命令は躊躇せず、明確に
あるとき働く女性に、年下の上司に対するアンケートをとったところ、こんな回答があり、思わず唸ってしまいました。
「気配りはありがたいけど、ことごとくズレている」
年上の女性部下の顔色をうかがい、残業を頼みたいが遠慮もあって頼めない、ミスを指摘したいが、はっきり言うと差し障りがありそうなので、遠回しにしか注意できない……といった、及び腰の年下上司の様子が目に見えるようです。
確かに年上部下に対し、指示・命令を出したり、マイナスの要素をもつことを伝えたりするのは、気を使う仕事であるのは間違いないでしょう。
しかし、気を使うあまり、業務に支障が出てしまっては本末転倒です。言葉遣いは丁寧でなければいけませんが、上司は指示を出す、部下はそれに基づいて行動する、という本来の役割を果たすためにも、ほかの部下と同様、してほしいことを明確に伝えましょう。
私はこの話をするとき、いつもイチロー選手とコーチの例を引き合いに出します。イチロー選手よりも好成績を残したコーチなど、まずいません。では、コーチはイチロー選手に何も指導できないのかといえば、そんなことないはずです。
コーチの役割は、監督の方針を頭に置いたうえで、選手にビジョンを示すこと。選手の鏡になり、選手本人の内発的な動機が浮かび上がる支援をすること。そして、その達成のために何をすべきかを明確に指示することです(ただし、対話のなかで目標達成に向けたやり方は年上部下の意見を十分に取り入れる必要があります)。与える指示が自分の現役時代の成績や立場に左右されてはいけないのです。
同様に部下が相手であっても、遠慮して言いたいことを言えなかったり、反対に自分が相手より劣って見られたくないと虚勢を張ったりするようではいけません。肩肘はらず、「あなたにはこの仕事をしてほしい。こんな役割を果たしてほしい。そのために、手順に沿って自分なりに創意工夫を凝らしながら、目的を達成してほしい」と、〝ビジョン〟と〝プロセス〟を相手の立場に立って明確に示し、遂行させることが上司の役割なのです。
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