ケニアは、発展途上国にもかかわらず野生動物保護の先進国!

石黒謙吾(いしぐろ・けんご)
著述家・編集者 1961年、金沢市生まれ。著書には、映画化された『盲導犬クイールの一生』『2択思考』、“分類王”の『図解でユカイ』他、『エア新書』『短編集 犬がいたから』『どうして? ~犬を愛するすべての人へ』など幅広いジャンルで多数。近刊著書は『分類脳で地アタマが良くなる』。プロデュース・編集した書籍も、ベストセラー『ジワジワ来る○○』(片岡K)、『ナガオカケンメイの考え』(ナガオカケンメイ)、『負け美女』(犬山紙子)、『ネコの吸い方』(坂本美雨)、『犬と、いのち』(渡辺眞子) 『マン盆栽の超情景』(パラダイス山元)など200冊以上。■ブログ http://www.blueorange.co.jp/blog/

本庄 ケニアのゾウは、1973年には16万頭いました。それが、17年後の1990年には2万頭にまで激減しているんです!

石黒 すごい数字ですね……。それは象牙目的の……。

本庄 密猟ということですね。アフリカ諸国で、密猟の罰則を無期懲役にまでにしたのですが、お金が動くとなくならないのです。それは、つまり買う人がいるからですよね。

石黒 そしてその輸出されるところが……。

本庄 主にアジアなんです。まずは中国やタイに持ち込まれる。そこで加工されて、印鑑の材料となって日本に売られこともあるといいます。だから、もし象牙以外の選択肢があるならば、そちらを考えてもらえればと。

石黒 もし日本人全員が象牙の商品を買わなくなれば、少なくとも日本で売られてる象牙の分は密猟にストップをかけることにつながりますね。そしてこの問題の難しさがもっと複雑なんですよね。

本庄 そうなんです。ワシントン条約で、象牙の国際取引は禁止されています。しかし、2007年と2008年に1回限りという条件で日本と中国は輸入が許可されたことがありました。その時の象牙がいままで残っているはずがないのに、合法な象牙という名目で出回っているといわれています。

石黒 たったそれだけの特例措置を、闇のルートはうまく利用した形なんですよね。

本庄 密猟の象牙と判断つかないわけで、これによって混乱し、取り締まる術がなくなってしまったわけです……。

石黒 なんとも悔しいというか、歯がゆいですね。

本庄 ケニアの国自体は、野生動物保護の先進国でなんです。いまでも、食べるものがなくて命を落とす人がいる発展途上国なのにもかかわらず、です。そんな誇りを、保護活動に携わる方々の言葉や姿勢から大いに感じました。