売り上げが伸びない時代、コスト削減は企業にとって至上命題です。ITで業務を合理化し余分なコストを削っていく……というのは今や当たり前ですが、それにしても初期投資は必要なわけで、とくに、100万円の違いが経営を大きく左右する中小企業ではパソコンやサーバの購入ひとつにも神経を使うところでしょう。IT資産のお得な導入方法について、税金との関連から考えてみましょう。

購入とリース、分かれ目は「今期が黒字か赤字か」

 IT機器を導入する際、購入するか、リースにするかで頭を悩ますことがありますが、どちらもメリット、デメリットがあるので会社の経営状況から判断することが不可欠です。

 リースの場合のメリットは、購入と異なり一時的に多額の現金を必要としないので、手持ちの資金を有効活用でき、資金繰りを安定化させることができます。また、固定資産税の支払いやリース物件の保険加入はリース会社が行うため事務管理が楽になるほか、中小企業(※)の場合は、リース料を全額経費にできるので経理事務軽減ということも見逃せません。

 一方でデメリットとしては、購入するより割高になることです。金利相当額や保険料相当額は割安であっても、維持管理相当額やリース会社の利益が乗っていますので、リース料の総額でみると割高となるケースが多いです。また、リース物件が陳腐化したときの対応も考えなくてはいけません。というのもファイナンス・リース取り引きの場合、中途解約ができないため、新機種への変更やバージョンアップなどが難しくなります。

 税制面から考えると、購入の場合、機器の特別償却等が認められているので、条件に合えば購入した年に購入金額の多くを損金計上することが可能です。つまり、今期黒字が望める場合には、購入したほうが税務的にはメリットがあるわけです。一方で、機器を購入すると「固定資産」としての管理や納税申告など、煩雑な税務上の管理が必要となることには注意してください。

※ここでの「中小企業」の定義 (租税特別措置法による)
【法人】資本金が1億円以下 (ただし大規模法人の子会社は除く)または、資本金を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1000人以下のいずれかに該当する場合
【個人事業主】常時使用する従業員の数が1000人以下の個人事業主
【その他】農業共同組合等