なにしろ中小企業の経営実態は依然苦しい。東京商工リサーチの調べでは、今年5月、6月の企業倒産件数は2ヵ月連続で前年を上回った。「ボーナスどころじゃない」という会社も相当あることだろう。その実態は、経団連の統計には一切反映されていない。

 さらに言えば、「そもそもボーナスをもらえない」という非正規労働者の割合も多い。厚生労働省の平成21年若年者雇用実態調査によると、全労働者に占める若年労働者(15~34歳)の割合は32.9%。このうち21.1%が正社員で、非正社員はその半数以上の11.7%に及んでいる。

 会社によって差が生じるのはある意味しかたがないが、これまでのような公務員の優遇ぶりや、正社員と非正規社員の待遇の違いはフェアとは言えないだろう。

 公務員、大企業社員、中小企業社員、そして非正規社員――ボーナスをめぐる待遇差は、どんどん開いているのではないだろうか。そんな「ボーナス格差社会」で負け組になれば、冒頭の彼のように恋人に逃げられてしまうことだってありうる。

20年間で30兆円の給料が消えた!
「低年収社会」に突入した日本

 ところが北見さんに聞いてみたところ、意外にもこんな答えが返ってきた。

「ボーナスや年収の変化を見る限り、日本はけっして格差社会になったわけではないんですよ」

 いったいどういうことなのか。

 北見さんは有志のネットワークを通じ、毎年、じつに数万人分もの給与明細を集めている。これをもとに独自の給与統計を作成しているそうだ。その名も「ズバリ!実在賃金」。東京や大阪、愛知など、全国の都市のデータを網羅している。

 統計を分析する際は、平均値ではなく、「分布」や、すべてのデータを並べたときど真ん中に来る「中央値」を見るという。高額な給与を得ている人がいると、平均値は上の方へ引っ張られ、正確な実態を映し出さなくなるからだ。

 この統計を使い、ボーナスの分布をリーマンショックの前と後で比較したところ、なんとも不気味な事実が浮かび上がってきたという。